上越市出身の“郵便の父”前島密の青春時代が創作劇に 地元中学生3人が前島役に挑戦

“日本近代郵便の父”と呼ばれる新潟県上越市出身の前島密(1835〜1919)の若き日を描いた創作劇が2025年9月27日、同市下門前のリージョンプラザ上越で上演される。市内の中学生3人が前島役に挑戦しており、本番に向けて練習を重ねている。

幼少期から老年期までの前島を5人が演じる

創作劇「青春は冒険だ! 郵便の父前島密の青春時代」は、前島密翁顕彰事業実行委員会と同市が主催する「前島密生誕190年を祝う会」で披露される。12歳で江戸に出て医学修行中の前島が、黒船来航に衝撃を受けて近代国家を目指すべきと考え、各地を旅して知見を深めた史実を基に、「未来に向かって冒険することの大切さ」を訴える内容だ。

前島は時代ごとに5人が演じる。8歳の前島は籠島碧緒さん(12、市立春日中1)、12歳は日向雅空斗(がくと)君(13、雄志中2)、18歳は杉浦照芳君(14、同)で、日向君と杉浦君が通う雄志中は校区内に前島の生家があった。郵便制度を立案した35歳は山岸優仁さん(41、上越市)、物語の進行役となる老年期は俳優の鈴木一功さん(73、東京都)が演じる。

老人となった前島がかつての自分の前に度々現れるという約30分の物語で、脚本は市議会議員の滝沢一成さん、演出は鈴木さんが手がけた。8月18〜20日には前島の出生地、下池部の公民館で集中稽古があり、鈴木さんの演技指導を受けた。

鈴木さん(左)の演技指導を受ける(左から)杉浦君、籠島さん、日向君、山岸さん

日向君は「越後から江戸に向かう時はどんな演技をしたらいいかと悩んでいる。(演じながら)前島密は江戸に行くの決心をしたのが素晴らしいし、いろいろな事業を成功させた人なのですごいと思った」、杉浦君は「学校生活では演技をする機会がないので自分の全力が出せて、楽しい。演劇で前島密について学べるので、ぜひ見に来てもらいたい」とそれぞれ話した。籠島さんは「貴重な体験で自分は前島密なんだという気持ちで挑む。演劇を通して、前島密が郵便制度だけでなく早稲田大学なども作ったということを知ってもらえたら」と語った。

祝う会は午後2時から式典、同2時40分から創作劇、同3時20分からはコメンテーターやキャスターとして活動する糸魚川市出身の伊藤聡子さんの講演会がある。入場無料だが整理券が必要で、上越地域の郵便局で配布している。公式サイトから申し込みも可能。また創作劇上演の資金として、9月末までクラウドファンディングも実施している。

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