標高約300mの山あいにある上越市牧区高尾に2024年9月1日、一棟貸しの民泊施設「コサクレム」がオープンした。同集落在住の鈴木一恵さん(43)が、かつて自宅としていた築30年の木造2階建てログハウス風の建物を自ら数年かけて改修し、1日1組限定の民泊施設に生まれ変わらせた。
高尾集落は高田市街地から車で約30分の山間地にあり、冬は積雪2mを超える。住民は約20世帯50人ほどで多くは高齢者だ。小学生の時に両親と弟2人の家族で移住した鈴木さんは、2021年に空き家だった推定築年数150年の古民家を家族や知人などと改修して自宅にし、1階を訪れた人が自由に過ごせるシェアスペースとしてオープン。週3日の営業(冬期間休業)で、月平均20人ほどが利用している。
一棟貸しの民泊施設開設はシェアペース開業当初から計画があり、古材や廃材、リサイクルショップの家具などを利用し、3年ほどかけて改修。天井や床、壁も鈴木さんがペンキを塗り、一部の家具は手作りした。
1階は吹き抜けと大きな窓、まきストーブがあるリビング、キッチン、モミの木の浴槽とタイル貼りの浴室、トイレがある。食事の提供はないため、キッチンには調理用具や調味料、食器、ガスコンロ、電子レンジ、トースター、冷蔵庫がそろい、脱衣室には洗濯機もある。Wi-Fi完備でテレビはない。
2階は寝室2部屋でベッドは4台(4人以上はマットレス使用)。「森の部屋」と名付けられた一室は、外の林と部屋のグリーンの壁紙が一体化し、まるで自然の中にいるよう。もう一部屋は眺望がよく、眼下の棚田や遠くに高田平野も望める。吹き抜けに面した2階の廊下は1階のリビングが見下ろせ、ハンモックでもくつろげる。
名称のコサクレムは、自宅だった時に長年飼っていた2匹のネコの名前「コサク」と「レム」からとった。
「すごい古民家でも、新しい家でもないが、20年以上家族と暮らした思い出の家なので、細かい傷などは残してまるっきり奇麗にせず、昔のいろいろなことを思い出しながら改修作業をした」と語る鈴木さん。思いをこめてアイデアと手作りで改修した建物は、どこかほっとする居心地の良さにあふれている。
鈴木さんは「泊まったからといって田舎料理の提供も自然ツアーも何もなく、見渡す限り自然しかないが、自分たちのペースでゆっくり過ごしたい、いつもと違う環境でリフレッシュしたいという方に来ていただければ」と話している。
1日1組限定で定員は7人。宿泊料金は平日が1人1泊5000円、土日祝は同6000円(税、サービス料込み)。予約はホームページで受け付けている。
徒歩1分の場所にシェアスペース「山のホムサ」も
コサクレムから徒歩1分の場所に鈴木さんの自宅兼シェアスペース「山のホムサ」がある。チェックイン前の到着時や、チェックアウト後に高尾に滞在したい時などにも利用できる。