古民家で気ままに過ごして 牧区高尾に貸しスペースがオープン

棚田が広がる山あいの新潟県上越市牧区高尾集落に住む鈴木一恵さん(40)は、古民家を改修した自宅1階を貸しスペース「山のホムサ」として8月1日にオープンした。推定築年数150年のかやぶき屋根や梁が残る古民家を、廃材や着物などで飾り付けた空間で、気ままな時間を過ごすことができる。

約3年をかけて鈴木さんが家族らとともに改修した古民家
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貸しスペースとして提供するのは、かやぶき屋根を見上げる吹き抜けの部屋と、額縁のような横長の窓から天気が良ければ高田市街地までを見渡せる部屋、中2階の部屋の3か所。いずれもドアなどで仕切られてはおらず、席数は計10席ほど。ほかの客がいなければ自由に席を移動でき、飲食の持ち込みも可能。インスタントの紅茶やコーヒー、ポットの湯、電子レンジを備えるほか、Wi-Fiを完備し、絵本や文庫本、雑誌が並ぶ本棚もある。

鈴木さんは「気軽に来てもらい、集落の散歩をして休憩したりパソコンで仕事をしたりと自由に過ごしてほしい」と話している。

一番広い吹き抜けの部屋。鈴木さん(右)と母親の明美さん
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高尾の景色を一望できる部屋
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個室感が高い中2階の部屋。照明は電球の周りをかんじきと着物で飾っている
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過疎化が進む高尾集落は現在20世帯ほどが暮らし、住民の6割以上が65歳以上という。元々集落の別の家に住んでいた鈴木さんは、母親の明美さん(64)らが2017年に始めた、民家を休憩所として開放する「高尾お茶のみ散歩」の休憩所兼ゲストハウスとして活用するため、空き家だった近所の古民家を購入。家族や友人らで改修作業を進めていたが、新型コロナウイルスの影響でお茶のみ散歩の休止、終了が決まった。

棚田が広がる高尾集落
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鈴木さんは「このまま何もしなければ、集落が忘れ去られてしまう」との危機感から、ゲストハウスよりも気軽に利用でき、来訪者を呼び込みやすい貸しスペースとしての活用に変更。クラウドファンディングも利用して改装費を集め、今年の春に工事を完了し、家族で移り住んだ。

鈴木さんは「高尾は何もないが、空気が奇麗で静か。貸しスペースを利用するうちに気に入って住んでくれる人が一人でも増えたら」と期待を込めている。いずれは旧自宅も改装し、一棟貸しのゲストハウスとして活用する計画もあるという。

本棚は古い桐ダンスの引き出しなどをリメイク
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自由に利用できる電子レンジやティーバッグなどのドリンクサービス
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住所は牧区高尾451。営業日時は土〜月曜の週3日、午前10時から午後3時まで。料金は1人500円、小学生以下200円で、何時間でも利用できる。利用前に電話(090-2982-4382)で連絡が必要。最新情報はインスタグラムフェイスブックで発信している。

道路から少し下がった場所にたたずむ
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