運転免許が不要で歩道走行が可能な次世代型電動車いすのレンタル実証実験が、新潟県上越市の高田城址公園で2024年8月4日まで行われている。同公園は内堀一面に咲くハスが見頃を迎えており、長距離を歩くことに困難を抱える高齢者などに体験試乗を呼び掛けている。
実証実験は上越妙高駅西口のコンテナ商業施設フルサットを運営する北信越地域資源研究所(同市大和5)、個人が使用する移動手段などを研究する城西国際大学(千葉県)の金子祐介助教(45)、次世代型電動車いす「WHILL(ウィル)」の開発販売会社WHILL(東京都)の3者が企画した。産学連携で誰もが快適に観光できるユニバーサルツーリズムを目指し、散策コースの設計や路面インフラなどの課題調査、利用者アンケートなどを行う。
使用する電動車いすウィルは、免許やヘルメットは不要で、最高時速は6km。小回りの利く屋外室内両用モデルは幅55.4cm、長さ98.5cm、高さ74.5〜94.5cm、重さ52kgで、5時間の充電で18km走行可能。手元のコントローラーで直感的に速度や向きを変えることができ、5cmの段差や緩い傾斜も走れる。ハンドル付きのスクーターモデルもある。
実証実験は7月31日〜8月4日の午前10時〜午後6時(4日は午後4時まで)。高田城址公園オーレンプラザで貸し出し、主に同所と公園内の市立歴史博物館までの往復1.4kmを試乗してもらう。途中、歴史博物館に乗り捨てても、高田城本丸跡や極楽橋などを巡り公園を一周してもよい。
初日の7月31日に、オーレンプラザ内の廊下で試乗した市内大町5の女性(84)は「操作に全く問題なかった。楽でとてもいいなと思った」と話した。高齢のため普段は杖とシルバーカー(手押し車)を使っているという。仲町6の女性(79)は「軽やかで操作に慣れれば、すぅーっと行っちゃう。家が街の中で車道に面していて雁木があるので、離れた所ならいいかもしれない」と話した。
病気で足が不自由になり、6年前からウィルを日常的に利用している北信越地域資源研究所の平原匡代表(47)は「歩くより早いので、介助者がペースを合わさなくてもいいし、後ろではなく横に並んで会話もできる」と話す。開発販売会社のウィルによると、エスコンフィールド(北海道)や日本科学未来館(東京都)、ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県)などでは、来場者用として導入されているという。
城西国際大の金子助教は「(速度があるため)歩くより涼しい環境でハスを見られる。歩くのが苦手という人や長い距離は歩きたくないという人はぜひ使ってみてほしい」と呼び掛けている。
実証実験についての問い合わせは、北信越地域資源研究所の平原代表090-8018-0347。
ウィル貸し出し場所の高田城址公園オーレンプラザ