上越市議会12月定例会の一般質問で中川幹太市長は「上越市を観光都市にすることは目指していない」との考えを明らかにした。通年観光計画は中川市長の看板公約として策定を進めているだけに、議員からは「本気で言ったのか」「根本的な考えがずれているのでは」など驚きの声が上がった。
滝沢一成議員が2023年12月8日の本会議で「そもそも上越市は観光都市になる必要があるか」と質問。中川市長は「上越市を観光都市にすることを目指しているのではない」と述べ「通年観光の目的は、歴史・文化の次世代への継承で、通年観光は手段」「人口減少で各地域の取り組みが廃れている。なんとかして引き継いでいかねば」などと説明した。
滝沢議員が「別に観光でなくてもいい。まさに今働いている事業者の方々を支えることが第一だ」と迫ると、中川市長は「別に特徴的なことをやろうとしているわけではない。現場にあるものを継続していきたい。地域住民がそこに熱を入れて取り組んでもらうことが前提で、特徴というより、地域にあるものを生かす」と説明した。
丸山章議員も11日、「『全国、世界に誇れる上越の魅力を発信する』と(市長は)言ってきた。継承は当然の話。今までの言葉は嘘だったのか」と質問すると、中川市長は「各地域に行くと少子高齢化で次の担い手がいないという状況が深まっている。やり方を変えていかなければ次の時代に継承されない」と繰り返した。
このほかにも複数の議員がそれぞれの角度から、通年観光について質問した。
「7年間で50億円の根拠は」
江口修一議員は8日、「7年間で50億円の事業費の予算的根拠もなく本当に残り2年の任期中に具体的な施策が作れるのか」と迫った。
「市民生活犠牲にするのか」
上野公悦議員は11日、中川市長が市民との意見交換会で「観光をやってしまうと今までの生活が崩れてしまうことはどこの観光地でもある」と発言したことについて「市民の生活を守ることが最大の責務である市長がこのような発言をすること自体、資質を問われる」「市民生活を崩してしまうものなら即刻方針を撤回すべき」と迫った。中川市長は「市民生活を犠牲にすることを容認するものではない」などと答えた。
「通年観光に市民の理解得られたか」
高橋浩輔議員は11日、「通年観光に対する市民の理解は得られたと思うか」などと質問。中川市長は「市民の思いを計画にまとめた」として今後もパブリックコメントなどで意見を聞いて反映するとした。
「市長考えの根本が市民に伝わっていない」
安田佳世議員は12日、中川市長の観光と歴史・文化の継承の考え方について「市長の考えの根本が市民に伝わっていない」、また「地域の自己満足な計画、観光になっていないか危惧している」などと指摘した。