高卒者に対する差別的な発言が問題となっている新潟県上越市の中川幹太市長は2024年6月27日、定例会見で自らの発言について改めて謝罪し、自身の減給処分を検討していることを明らかにした。しかし、記者の質問に対しては終始用意された原稿を読み上げて「反省」を繰り返し、質疑は噛み合わなかった。
給与とボーナスの減額検討
「おわびしてもおわびしきれない」などと述べ、市議会に給与条例の改正案を提出し、減給する考えを表明。減給の割合は「検討中」、議会提案の時期は「調整中」とした。市長が給与を市に返納した場合、公選法上選挙区内への寄付に該当し、違法となることから、給与条例を改正して減額する必要がある。
中川市長の給与月額は、本来約97万円だが「人口減少緩和の成果が得られるまで」として15%減額しており、現在は約82万円。会見の翌日6月28日は夏のボーナスの支給日で、中川市長には約168万円が支給される予定。中川市長は「心苦しいが(減額するには)条例改正が必要」とした上で、ボーナス全額をいったん受け取った上で結果的に減額となるよう対応する考えを示した。
終始原稿読み上げ 質疑噛み合わず
会見では複数の記者が、差別発言の原因や反省の内容、再発防止の対応などについて繰り返し質問したが、中川市長は「とにかく深く反省しながら誠心誠意取り組む」と用意された原稿を繰り返し読み上げ、質疑は最後まで噛み合わなかった。
記者から、自らの言葉で語らない理由について問われると「ここに書いてある内容については、私自身十分に吟味した。私の考えだ」などと答えた。「原稿に書いていないとしゃべれないのではないか」とさらに問われると「どちらにしても、反省して、誠心誠意信頼回復に努めていきたい」と再び原稿を読み上げた。
「職責全うしたい」 辞職は否定
上越タイムス社が実施したアンケートで85%を超える市民が「辞職すべき」と回答したことについて、同社の記者から問われると「率直な意見として重く受け止めている」と答えた。続けて「職責を全うしたい」と述べ、辞職については否定した。
差別発言 今回が最後?
中川市長は昨年7月にも市内私立高校について「レベルが低い」など、今回の高卒者に対する差別的な発言と同種の発言をしている。中川市長は「とにかく頑張って不適切発言が起こらないように努力を続けていきたい」「2度と起こさないように努力して決意します」と述べた。