新潟県上越市の中川幹太市長は2024年6月27日、同市本城町の高田城址公園オーレンプラザで、上越公務員・情報ビジネス専門学校の学生に特別授業を行った。「上越市の展望〜市長が上越市の未来を語る〜」をテーマに講演し、学生との対話集会も開かれた。
市長による特別授業は、同校の学生が公務員をはじめ、地元上越市への就職希望が多いことから、同市への理解を深めてもらおうと開かれている。保育やゲーム、システム開発、ITビジネスなどを学ぶ学生214人が参加した。
中川市長はNPO法人勤務時代に、桑取地区などで取り組んだ米作りや伝統行事の継承といった中山間地活性化、市の第7次総合計画や通年観光計画、DX促進、ふるさと納税の積極活用などの取り組みを紹介。これからの時代に大切なこととして、町内のつながりや防災、食文化などを挙げ、「地域の力、食べ物、水、エネルギーがあるというのは生きていく上で重要。皆さんにも関心を持ってもらい、上越市の豊かさを知ってほしい」と呼び掛けた。
市長に求められる能力は? 学生前に動揺!? 自らの公約で廃止した事業紹介
高卒者への差別発言から間もない「特別授業」。中川市長は、学生を前に動揺したのか、自らの公約で廃止した事業を紹介したり、町内など地域でのプライバシーについて不適切ともとれる発言をしたりと不安定さが目立った。
特別授業は差別発言への謝罪から始まった。冒頭「先日、非常に不適切な発言があり、皆さんにご心痛、ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と述べ頭を下げた。しかし、「発言があり」と述べただけで、誰が発言したのかを明らかにせず、具体的な説明もしなかった。
授業では、上越市の最上位計画である第7次総合計画を説明している中で、「地域活力の創造ということで今、地域活動支援事業もやっております」と紹介。しかし、地域活動支援事業は中川市長の選挙公約で廃止され、現在は「地域独自の予算事業」と別の制度に変更されている。
また、自身が桑取地区に住んでいることを紹介し、町内など地域の密着度の強さについて力説。「わたしとしてはプライベートを知られたとしても山奥に住みたい」などと発言した。
進学や就職による若者の流出について学生から質問されると「上越市は企業誘致するために条件がいい。企業誘致はどんどんやっていきたい」ときっぱり。高卒者差別発言は企業誘致に関連してのものだった。
「市長に求められる能力は何か」と問われると「現場を大切にすることが一番大切」とした上で、「基本的に下の人でも活躍できるようなボトムアップの人事政策で、場合によってはトップダウンが必要」などと持論を述べた。