宇宙に打ち上げた種もみを使って米作りをする「コメタネ宇宙プロジェクト」に取り組む新潟県上越市土橋の田中産業と同市立東本町小学校は2023年5月26日、種もみの地球帰還報告会を同校で開いた。約1か月間の宇宙の旅を終えた種もみから育てた苗が学校に到着し、児童が一部を植えてみせた。
同プロジェクトは、人工衛星を活用した米作りに取り組む田中産業が、子供たちに農業と宇宙に興味を持ってもらおうと企画。人工衛星関連で関わりのあった有人宇宙システム(東京都)の協力を得て実現した。
種もみは上越産コシヒカリ100粒を使用し、現在の6年生が「つなげKIRARa米」と名付け、キャラクターも考案。3月15日にアメリカのケネディ宇宙センターからロケットで打ち上げられた後、国際宇宙ステーションで保管され、4月16日に地球に帰還した。同26日に上越市に到着し、農業法人が苗まで育てた。
5、6年生約125人が参加した報告会では、田中産業が打ち上げから帰還までの様子を動画や写真で紹介し、有人宇宙システムがフライト証明書を児童らに贈呈。6年生から米作りを担当する5年生に苗が手渡され、田んぼを再現した水槽に代表児童が苗の一部を植えた。残りの苗は田中産業の田んぼで栽培する。
苗を植えた5年の男子児童(10)は「普通の苗との違いは分からなかったけど、大きく育てたい」、6年の女子児童(11)は「お米が宇宙に行くなんて思わなくて、初めて宇宙に興味が湧いた。元気に育ててほしい」と話した。
田中産業の田中朗之常務によると、現段階の苗には宇宙滞在による変化はみられないとし、「おいしくなったり、環境に強くなったりと良い影響が出たら。普通の米と違いがあるか見守ってほしい」と話していた。