宇宙に打ち上げた種もみで米作り 田中産業と東本町小が計画

稲の種もみをロケットで宇宙に飛ばし、地球に帰還した種もみを使って米作りをするというユニークなプロジェクトを、新潟県上越市土橋の総合建設業、田中産業と同市立東本町小学校が立ち上げた。2022年11月14日、同社の社員が同校を訪れ企画内容を説明すると、児童たちは期待に目を輝かせた。

児童にプロジェクトの内容を説明する田中産業の田中常務

プロジェクト名は「コメタネ宇宙プロジェクト2022」。上越産コシヒカリの種もみ100粒を、来年1月にアメリカのケネディ宇宙センターから打ち上がるロケットに載せ、国際宇宙ステーション(ISS)で約1か月保管する。2月に地球に帰還した種もみで苗を育てて、来年の同校の米作りに活用する計画だ。

農業にも取り組む田中産業では、人工衛星画像を基に稲の生育状況を確認するサービスを活用しており、サービス提供元の有人宇宙システム(東京都)が、ISSでの実験を支援するサービスも展開していることから、今回のプロジェクトが実現。田中産業が約20年前から田んぼを提供し、毎年5年生が米作りを行う同校の子供たちに、農業と宇宙の関係を伝え、農業に明るいイメージを持ってもらおうと企画した。

この日、5年生約60人が集まり、ロケットの動画や画像と共にプロジェクトの説明がされると、「すごい」「かっこいい」などと声が上がった。児童は今後、宇宙に打ち上げる米の名前を決めてキャラクターを制作し、種もみを格納する箱に貼るラベルを作成する。女子児童(11)は「皆に興味を持ってもらえる名前やキャラクターにしたい。(種もみが宇宙に行って)おいしくなったらいいな」と話した。

宇宙に打ち上げる種もみを観察する児童

田中産業の田中朗之常務は、宇宙で保管することで種もみに変化があるかどうかは「分からない。良いことが起きればいいと思う」と話し、「子供の農業や宇宙への興味につながれば」と期待を寄せていた。