妙高の雪形「跳ね馬」が桜と競演

新潟県妙高市にそびえる妙高山に春耕を告げる雪形「跳ね馬」が現れた。青空が広がった2021年4月2日、矢代川にかかる「はね馬大橋」から、矢代川堤防沿いのソメイヨシノやシダレザクラとの競演が見られた。

妙高の中央に黒く浮かび上がった跳ね馬(4月2日撮影)
20210402妙高はね馬

跳ね馬は妙高山の外輪山、神奈山(1909m)に現れる雪形だが、上越市や妙高市の市街地からは妙高山と一体的に見えるため、「妙高の跳ね馬」と称される。前足を跳ね上げて南西方向へ駆け出そうとする躍動感あふれる姿が特徴で、えちごトキめき鉄道の路線名「妙高はねうまライン」、妙高市の総合体育館の愛称「はね馬アリーナ」などの呼称に使われ、親しまれている。

例年は4月中旬からゴールデンウイークにかけて見頃になるが、今年はサクラと同様に早め。胴体部分に残っている雪が消えると形がはっきりする。

「妙高のはね馬」は、昭和初期まで「牛形」「農牛」と呼ばれていた。旧高田藩士が編集した『越後頸城郡誌稿』(1901年)には、「明光山ノ牛形」とある。山村民俗の研究者、岩科小一郎の『残雪絵考』(1938年)には「越後の妙高山の一峰神奈山東北方の大きな沢の左岸に、妙高の農牛と俚称される雪形が黒く出る」とある。