コロッセオみたい⁉ ユニークな半円型の建物はペントラッチャの新店

ローマにある世界遺産の闘技場「コロッセオ」を思わせる半円型の建物が、市民の関心を集めている。これは新潟県上越市下門前に建設中のイタリア料理店「トラットリア・ラ・ペントラッチャ」の新店。オープンは2016年6月23日に決まった。

23年前の1993年、上越市内で初めて、石窯を備えた本格イタリア料理店を開業し、現在は東京都や新潟市など計6店舗を展開しているクオルス株式会社の高波利幸社長に話を聞いた。

直径21mもある半円型が特徴の建物
2016-06-10ペントラッチャ2

記者 ラ・ペントラッチャは、上越に石窯で焼いたピッツアやパスタなど、本格的なイタリア料理を普及させた先駆けの店だと思う。ユニークな円型の建物には、社長が目指す理想などが込められていると思うが、意気込みなどを含めてお聞きしたい。

高波社長 東京で修行したイタリア料理店で、カルチャーショックを受けたのがきっかけ。25歳で上越に帰ってきて、ラ・ペントラッチャをオープンしたが、ピザ釜を輸入する手続きやら、イタリアの食材の手配など大変だった。当初は(歯ごたえの残る)アルデンテのスパゲティーや、芯のあるリゾットなどが不評でね(笑)。数か月後に店のスタイルを、イタリアの食卓のように「家族で囲む大皿イタリアン」に変えたところ、次第に受け入れられた。

記者 それから23年。上越地域にイタリア料理が食べられる店がずいぶん増えたが、店のスタンスに変化はあったか。

高波社長 イタリアの野菜、リゾット用の米、丸ナス、トマトなどを、地元の生産者12人に作ってもらっていて、魚介類やくびき牛などとともに東京や新潟の店にも送っている。新潟発、田舎のイタリア食堂として、100年続けていける自信が持てた。

イベントなどが行われる広い中庭。西側には大割公園が隣接している
西側

記者 市民の皆さんは「コロッセオみたい」と言っているが、モデルにしたのか。

高波社長 まったく意識していなかった(笑)。イタリアのラヴェンナ県にあるバニャカヴァッロという小さな村に、市場として使っていた円型の建物があった。村が古い建物をレストランとして再活用し、広場を中心にイベントをやって、人気を呼んでいる様子を目の当たりにした。だから、新店は食文化の発信だけではなく、音楽、美術、ファッション、車などの発信も行いたい。そのために広い中庭を作った。

記者 外観はコンクリートの打ちっぱなしだが。

高波社長 ローマでは火山灰を主成分としたローマン・コンクリートを使っている。その感じを出すため、無機質な感じにならないよう、グレーだけじゃなく、茶色やオレンジ色も混じっている。空調の室外機は壁の内側に入れて外から見えないようにし、雨樋も隠した。建物は天井まで高さ8mもあるので、2階建てに見えるが実は平屋建て。

兜をイメージした銅板で装飾した本格ピザ釜
石窯

記者 内装や石釜などもこだわりがありそう。

高波社長 照明器具に小樽の熟練職人が作った直径24cmの浮き球を使ったり、ピザ釜の装飾に古代ローマの頃の西洋兜をイメージしたり、いずれも“世界に一つ”をテーマにしている。ナポリの伝統を踏襲し、薪火で焼くピザ釜は、ナポリピッツァ職人協会認定のプロフェッショナル用を導入している。

厨房と客席部分。高さが8mある吹き抜けの天井が開放的(工事中)
厨房と客席部分

記者 ずいぶん大きな建物だが、席数などは変わったのか。

高波社長 敷地面積は600坪(1980平方m)、延べ床面積は200坪(660平方m)で、駐車場は38台分を用意した。店内は54席(うち18席が個室)で、今と変わりがない。使える季節は限られるが、ほかに24席のテラス席がある。南側にネイル&エステサロンなどテナントが3店入る。

記者 現在地から東へ300mほど移転し、立地は良くなるが、なぜこの地を選んだのか。

高波社長 下門前の地に思い入れがあるので。

記者 メニューなどは変わるのか。これから力を入れていく点は何か。

高波社長 メニューは基本的に同じ。今後は、人材の育成に力を入れ、上越で調理技術の勉強会を開きながら、将来は料理学校を作りたい。

公式サイト
http://www.quals.jp/la_pentolaccia/

新店の場所