オレオレ詐欺の被害を減らそうと、新潟県上越市は警告メッセージ付きの通話録音装置を高齢者世帯に無償で貸し出す。申請の受け付けは2016年1月12日から行う。装置は211台を用意しているが、定員を超えた場合は書類選考で貸与世帯を決定する。貸し出す期間は1年間。
録音装置に電話機本体と電話線をつないでセットする。着信があると「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます」とアナウンスされ、通話が録音される。事前に電話帳に登録した番号からの着信の際は、アナウンスを消すこともできる。
装置中央には、緊急通報用の赤いボタンが付いている。怪しい電話を受けた際には、ボタンを押すことで、あらかじめ登録した最大4件の電話番号に「緊急事態発生」の音声と、自身で録音したメッセージを流すことができる。
装置は、愛知県名古屋市のレッツコーポレーションが開発した「振込め詐欺見張隊 新117」。1台約9000円で、導入にかかる費用約192万円は県が負担する。
同市市民安全課の高波義明副課長は「この録音機で、オレオレ詐欺の被害がなくなることを願っている」。上越警察署生活安全課の内山嗣久課長は「録音装置は、オレオレ詐欺の撲滅に効果がある。詐欺に対して不安がある家庭は、借り受けを検討してほしい」と話していた。
同市役所や各区総合事務所などで配布される用紙に必要事項を記入して申し込む。高齢者のみの世帯が対象で、申請が通った場合は3月頃までに郵送で通知される。
一昨年、上越署管内で確認された特殊詐欺は40件で、被害総額は県内で最も多い約1億1000万円となった。同市は詐欺の被害を減らすため、2015年10月に特殊詐欺撲滅宣言を行っている。