上越地域医療センター病院に「漢方外来」新設 西洋医学の他科とも連携

新潟県上越市南高田町の上越地域医療センター病院(古賀昭夫院長)は、2020年6月から「漢方外来」を新設した。漢方は中国から伝わった「中医学」が日本独自に発展したもので、近年、西洋医学では診断がつかない「名もなき体調不良」を訴える人も多く、大学病院などでも専門外来の設置が広がっている。

同院の漢方外来を担当するのは、漢方治療約20年のキャリアを持ち、今年1月から同病院に勤務する総合診療医の高藤早苗医師(64)。石川県金沢市出身の高藤医師は大学の薬学部を卒業後、アメリカに留学して医師免許を取得。アメリカでの勤務医を経て、帰国後は日本の医師免許を取得し、がん患者などの緩和ケアに当たってきた。

新設された「漢方外来」担当の高藤医師
漢方外来

「なんとなく体の調子が悪い、病院に行っても『どこも悪くない』と言われるが本人はつらいといった症状に向き合う」と高藤医師。初診ではまず患者に、約40項目にわたる問診表に記入してもらうことから始める。「具合の悪いところ」だけでなく、痛みの種類や体調不良の頻度、季節や気温、生活スタイルによる症状の変化、嗜好などを詳細に尋ねる。

診察では問診票をもとにさらに詳しく聞き取りをしながら、脈や舌の状態のほか、腹部を医師が手で確認する腹診を行う。そして、「証」と呼ばれる患者本人の体質や体力、抵抗力、症状の表れ方などの状態を定め、それに合った漢方薬を処方する。患者の話をじっくり聞くので、初診は30分以上、再診でも15分は時間をかけるという。

上越地域医療センタ―病院
医療センター病院2

処方する漢方薬は、煎じ薬ではなく保険診療で行える飲みやすいエキス剤で、湯に溶いて「お茶」のように飲む。総合病院内の専門外来のため、内科や総合診療科、婦人科など他科と連携した治療も行っていく。

高藤医師は「西洋医学は診断がついてから治療となるが、『証』は変化していくので、漢方は常に診断しながら処方する。医者と友達になるのが自分の健康を守る一番いい方法。気軽に相談してほしい」と話している。

診療は予約制で、毎週水曜の午前9時〜同11時30分。診察予約や問い合わせは同院025-523-2131

上越地域医療センター病院