新潟県や富山県では鶏のことを幼児語でトットコと呼ぶ。“歩く百科事典”と呼ばれた博物学者、南方熊楠著の『十二支考』に、「日本で鶏を呼ぶにトトトトと唱うる」とある。この呼び声に愛らしいものを指す接尾語「こ」を付けたのが語源のようだ。
まんがの「とっとこハム太郎」は鶏と関係ありそうだが、ハム太郎はハムスターである。主題歌に「♪とっとこ~走るよ、ハム太郎」とあるので、「とっとこ」は走るようすを表している。
糸魚川市能生小泊に海中に「とっとこ岩」という奇岩がある。約100万年前に海底火山が噴火して出来上がったとされる。大ダコが佐渡からいたずらをしたトットコを運んできたという伝承がある。海運や豊漁などを祈る信仰の対象になっており、岩の上には祠がある。5月下旬から7月上旬、沈む夕日に際立つシルエットが美しい。糸魚川ジオパークのジオポイントの一つになっている。
上越市石沢には、烏骨鶏の卵とエキスを使った「とっとこパン」を販売する「パン・ヤシロ」があった(現在は閉店)。
魚のことを幼児語で「トト」と言うので、県外の人はトットコと言われると、魚だと勘違いする人もいるかもしれない。
では鶏の幼児語を共通語ではなんと言うか。答えは「こっこ」である。