新潟県上越市本町7の十字路に2018年4月27日、コンビニエンスストア「セブン−イレブン上越本町7丁目店」がオープンした。雁木通りからこの店の駐車場に続く歩道のように見える場所に「止まれ」と大きく表示がされていたため、SNSなどでは「歩行者優先が常識」「車が止まれ」など疑問視する声が上がっていた。上越タウンジャーナルが5月29日、セブン−イレブン・ジャパンにこの事実を指摘して取材を申し入れたところ、わずか2日後の31日には歩行者側の「止まれ」の文字は消され、車側に「止まれ」と表示された。
歩行者に「止まれ」
同店は、約16kmという日本一長い「雁木」が残る高田市街地の県道と市道の十字路にオープンした。大きく白い文字で「止まれ」とペイントしていたのは、雁木から同店敷地内に入ってすぐの場所。一見、歩道のように見えるが、実際は同店の管理する私有地のため、歩行者に「止まれ」と求めるのも自由だ。
SNSに市民から疑問の声
道路交通法では、歩道をまたぐ車には一時停止の義務があり、歩行者が優先。この場所は私有地で歩道ではないのだが、フェイスブックなどには「『止まれ』ってなんだよ。車が止まれよ!!」「いくら私有地でも、歩行者優先は常識」「歩道にこんなの書いてあるの初めてみた」「これはおかしい」などと疑問視する声が相次いで投稿された。
雪国高田の雁木文化
上越市民から疑問の声が挙がった背景には、豪雪地で知られる高田の「雁木」文化がある。雁木とは、家から張り出した軒や庇のことで、雪が積もっても雁木の下はトンネルのようになり人が往来できる。もちろん雁木も雁木の下の通路も私有財産だが、誰でも通れる屋根付き歩道のように利用されている。こうした「私」を「公」に提供している雁木文化の中で、今回の「止まれ」の表示に市民が疑問を投げかけていたのだ。
セブン−イレブン・ジャパンは即改善
開店から1か月以上経った5月29日、上越タウンジャーナルはコンビニを運営するセブン−イレブン・ジャパンの広報センターに、高田の雁木文化や市民感情などを含めてこの実態を伝え、取材を申し入れた。セブン−イレブン・ジャパンの対応は迅速だった。
翌30日に広報センターから連絡があった。広報担当者は「止まれ」と表示した理由として「出店にあたって地元の皆さんと相談をした際に『通学路なので何らかの表示をしてほしい』との要望があった」と説明。表示については「再考したい」と話していた。そして、翌日の31日には、回答通り問題の「止まれ」の表示は消され、自動車側に「止まれ」と表示する工事が完了していた。