「うみがたり」開館から1か月 滑り出し順調 入館者15万5千人 イルカプールの電線など課題も

新潟県上越市の新水族博物館「うみがたり」が2018年7月26日でオープンから1か月を迎えた。市によると開館から24日までの29日間に約13万7千人が入館した。市民を対象にオープン前の6月21日から4日間行われた市民先行公開をあわせると、約15万5000人が入館し順調な滑り出しをみせている。

うみがたりで人気のイルカパフォーマンス
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3週間で10万人達成

うみがたりには6月26日のオープン以降、1日平均約5000人が訪れている。今月中旬の海の日を含む3連休は、初日の14日が約8000人、15日が約1万2000人、最終日の16日は約1万人が入館。オープンから3週間となる16日には入館者10万人を達成した。

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年間パス人気で一時売り切れ

うみがたりによると、入館者数もさることながら、通常の約2.2回分の入館料で1年間何度でも入館できる年間パスポート(大人4000円、高校生2400円、小中学生2000円)が予想以上に売れているという。旧館時代の販売数などを参考に準備し、当初2か月かけて販売する予定だったパスポートが3週間で売り切れた。このため一時、発行手続きを中止した。

村山市長「想定より多い」

市は開館から1年間の入館者数を約60万人と見込んでおり、2年目は49万人、開館後20年間の平均は37万人と予想している。村山秀幸市長は7月24日の記者会見で「これだけの人にお出でいただき想定よりも多い。大変ありがたい」と述べた。好評の要因として、全国的な水族館ブームの存在や、海なし県の長野県民の水族館や海に対する期待感の大きさ、隣県でのプロモーション活動の効果に挙げたほか、「暑くなったのもよかったのでは」と分析した。

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まちなかへの誘客

大盛況の一方で、課題もある。来館者の直江津の街なかへの誘導については、一部の飲食店には行列ができるほど多くの客が詰めかけている一方、当初計画していた「まちなか回遊」はまだこれからといったところだ。村山市長は「直江津の街をぶらっと歩いてもらえる、気持ちに訴えるようなマップなど、直江津の街とうみがたりをリンクさせるようなものを今後も考えていきたい」と話した。

イルカの死

うみがたりはイルカのパフォーマンスが見どころの一つだが、バンドウイルカ1頭が死んだ。死んだバンドウイルカは4頭いたうちの1頭で、メスのサシャ。オープンからわずか2週間あまりの突然の死でファンからは驚きと悲しみの声が上がった。

「借景」の眺望遮る電線

3階のイルカプールは背後に広がる日本海を「借景」にしていることもアピールポイントだが、電柱と電線が視界に入りせっかくの眺望を遮っている。イルカプールの隣の「日本海テラス」側は、同市の求めでオープン前に東北電力が電線の高さを下げる工事をした。しかし、イルカプール側は電線下の建物の高さがあり、電線を低くすることができないという。同市新水族博物館整備課は「どのような手法が可能か東北電力と協議中」としている。

日本海を「借景」にしたイルカプールだが、電柱と電線で眺望が台無し
うみがたりイルカ2

今後は夕日がおすすめ

うみがたりの担当者は来館者の反応について「マゼランペンギンやイルカはもちろん、生き物が近いという声が多い」と話す。これからのおすすめは日本海に沈む夕日を背景にしたイルカパフォーマンスで、日没の時間に合わせてショーの時間を調整している。「午後6時過ぎに入館すると混雑もなく、昼間とは違ったイルカショーが楽しめ、夕涼みにもおすすめです」と話している。

人気のシロイルカ
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