旬のサンマにぴったりな日本酒 頚城酒造から秋限定で発売

日本酒もワインと同様に、料理に合わせて選ぶ時代がやって来た。新潟県上越市柿崎区の頚城酒造は、旬のサンマとの相性が抜群の無濾過純米原酒「秋刀魚と呑む越路乃紅梅」を9、10月限定で発売している。2015年に新発売し、今年で4年目。八木崇博社長は「飲食店で使ってもらうなど、少しずつ定着してきた」と話す。

サンマの塩焼きとペアリングした「秋刀魚と呑む越路の紅梅」
秋刀魚酒と秋刀魚

日本酒も料理とのマリアージュを

最近は「マリアージュ」や「ペアリング」が注目されている。元々はワインと料理の最適な組み合わせを指したが、日本酒でも使われるようになった。牡蠣、鍋料理、ジビエ料理、焼き鳥などに合う日本酒が発売されており、県内では新潟市の今代司酒造が「牡蠣のための日本酒」、長岡市の原田酒造が、栃尾の油揚げに合う「鶴と油揚げ 本醸造」を販売している。上越市内では妙高酒造が、魚卵、鶏肉、チーズなどの洋食に合うモンメルシリーズを販売している。

サンマの旨みと脂に負けない

「秋刀魚と呑む越路乃紅梅」は、米や酵母の選定、仕込みなど、最初からサンマの塩焼きに合うように設計した。酒米は広島の酒造好適米「八反錦」を使用。八木社長は「しっかりして幅があり、磨ける米」という特長を生かし、「サンマの旨みと脂に負けないような旨みや味わいが出せた」という。すっきりとした酸味もあり、「口の中の脂を洗い流し、次の一口にいきやすい」と話す。

酒米は60%まで磨き、割り水をせずに原酒のまま、18度と高めのアルコール度数にしている。

サンマ描いたユニークなラベル

網の上にのった3本のサンマを描いたラベルがしゃれている。漢数字の「三」に見え、サンマの“サン”をかけている遊び心も楽しい。ラベル上部には立ち上る煙もデザインされている。

地酒専門店で販売

価格は720ml入りが1,400円、1800ml入りが2,800円(税別)。上越市内では、まいどや酒店(春日新田1)、大山酒店(大町4)、地酒の店かじや(三和区)など、地酒専門店で取り扱っている。問い合わせは、頚城酒造025-536-2329

 サンマで一杯飲んでみた 

サンマの味が引き立つ「秋刀魚と呑む越路乃紅梅」
冷酒

瓶は冷蔵庫でキリリと冷やしておき、買ってきたばかりの脂がのった旬のサンマを焼く。その間に大根おろしをたっぷり準備した。

さて、お待ちかねの試飲である。脂したたる熱々のサンマを、冷えた一杯とともに口に流し込んだ。精米歩合が高いせいか、雑味がなく口当たりがいいが、サンマの旨味に負けることなく、存在感をきっちり主張している。だが、両者の個性が喧嘩するわけではなく、両方の良いところが出ているのが不思議だ。淡麗辛口が多い本県の日本酒の中にはあまりないタイプだろう。

サンマに最適な日本酒であるが、1本飲み終わるまでサンマばかり毎日食べているわけにもいかない。肉料理やチーズなどにも合うので、試してほしい。冷たいのが苦手な方は、常温でどうぞ。

◇頚城酒造公式サイト https://www.kubiki-shuzo.co.jp/