「日本三百名山ひと筆書き」の田中陽希さん上越入り 米山に初登頂 高田公園や金谷山も訪問

徒歩とシーカヤックのみで移動しながら日本三百名山に連続登頂する「ひと筆書き」に挑戦しているプロアドベンチャーレーサーの田中陽希ようきさん(35)が2019年4月3日、富山県から新潟県入りした。8日に141座目、上越市で唯一の三百名山である霊峰・米山(標高993m)に初登頂。9日には高田城百万人観桜会開催中の高田公園も訪れた。

プロアドベンチャーレーサーの田中陽希さん(2019年4月9日、上越市の大手屋旅館で)
田中陽希さん

百名山、二百名山のひと筆書きに成功

田中さんは2014年、作家の深田久弥が選んだ「日本百名山」を人力のみのひと筆書きで踏破するプロジェクトに成功。その模様はNHKBSプレミアム「グレートトラバース」として放映され、注目を集めた。翌2015年には、百名山に入らなかった46座と深田の遺志を継いだ「深田クラブ」が選定した54座を百名山に加えた「日本二百名山」のひと筆書きも達成した。

2018年から三百名山挑戦中

現在は、日本山岳会が選定した「日本三百名山」を加え、百、二百、三百の各名山の合計301座、移動距離1万kmを超える壮大なプロジェクトに挑戦中。NHKBSプレミアムで「グレートトラバース3日本三百名山全山人力踏破」として放映されている。2018年1月1日に鹿児島県屋久島を出発後、九州、中国、四国、関西、北陸、中部、関東の山々を人力のみで巡ってきた。昨年8月には右手の指を骨折するアクシデントに見舞われ、ギプスをしながら旅を続けた。

スタートから463日目の今年4月8日、上越市と柏崎市にまたがる米山に登頂。翌9日は、国道8号から頸城平野を斜めに横切るように南下して約25kmを歩き、夕方、宿泊先の大手屋旅館(上越市大手町)に到着した。

観桜会場の高田公園も歩いた
田中さん高田公園

満開の高田公園も訪問

集大成として臨んでいる三百名山は、初の1年を超える旅だ。時間を最優先し200日あまりでゴールした過去2回よりも山と丁寧に向き合っている。初登山となった米山は、地元の柿崎山岳会のメンバーから「米山」の名前の由来となった伝説や「米山さん」とさん付けで親しまれている話を直接聞き、「地元の人の生きた声を聞くと、自分への伝わり方が違った」と語る。

満開の桜と大勢の花見客で賑わう高田公園では、思わず「祭りだー」と声を挙げ、夜桜も見物。10日は高校・大学とクロスカントリースキー競技で活躍した経験から、日本に初めてスキーを伝えた金谷山のレルヒ少佐の銅像や日本スキー発祥記念館を訪ねた。

「自由に感じてもらいたい」

山に登りたい気持ちよりも、天候などを考え、「登れるのかどうか」という判断にぎりぎりまで悩むことも。「旅を通して誰かにメッセージを送りたいとか、自分はそんな立場ではない。旅の様子を見る方に自由に感じてもらったら」と、謙虚な人柄をうかがわせる。

登山時に撮影クルーが合流するが普段は一人(4月9日、関川にかかる上越市の稲田橋で)
田中さん稲田橋

ゴールは2020年夏頃の予定

今後は長野や群馬、福島、山形の隣県と往復しながら、10月まで本県の山に登る予定で、シーカヤックで佐渡にも渡る。ゴールの北海道利尻島に着くのは来年の夏頃という。旅の様子は随時、SNSで発信している。

日本三百名山ひと筆書き-Great Traverse3(グレートトラバース3)http://www.greattraverse.com/

NHKBSプレミアム「グレートトラバース3 日本三百名山全山人力踏破」https://www4.nhk.or.jp/greattraverse/