ホーム > 2019/06

上越消防が火災調査アプリ開発 消防庁長官賞を受賞

2週間前

上越地域消防事務組合(伊藤公雄消防長)は火災の原因などを様々な角度から調べる「火災調査」業務をゲーム感覚で学べる「火災調査シミュレーションアプリ」を開発した。担当した同組合消防本部予防課火災調査係長の入村宗さん(39)は「消防本部の垣根を越えて、全国の消防職員に教材として活用してほしい」と話している。

入村係長は2014年4月、同課に配属され、消防大学校火災調査課で学んだ。「全国水準の火災調査を叩き込まれた。火災調査について『みんなに伝えなければいけない』という義務があった」と当時を振り返る。伊藤消防長の「人の胸に届く新しい仕事をやろう」という言葉を胸に、周囲の助けを得ながらアプリ制作に没頭した。

アプリを開発した入村係長(左)と作業補助を行った清水さん(右)
消防アプリ1

これまで学んだ火災調査の知識や書類作成に必要なものを全てを盛り込み、1000枚以上の火災のCGを作成。ストーリーは原稿用紙400枚以上にものぼった。火災調査で長い経験を持つ先輩にも監修を依頼した。入村係長は「みんなが調査の目を持ち、みんなの知恵を結集して判定者にパス(渡す)することができればと思い、続けてきた」。

アプリ「火災調査 もう一つの火災現場へ」は、架空のアパートにおける火災調査を通して、実際の調査手順を踏みながら、必要な情報を学び、原因判定までを行う内容。数多くの選択肢や見分箇所を自ら選んで物語を進める仕組みだ。「火災調査の知識がないとゲームオーバーになる。無事に物語の結末にたどり着いたプレーヤーは教本の基礎知識が身に付くよう設計した」と入村係長。アプリ制作を手伝った同じ予防課の清水聡さん(31)は「笑いもあるし、涙がでるほどに感動する話になっているんです」と話す。

アプリの画面
火災調査シミュレーションアプリ

現在は同組合の職員全員がこのアプリで学んでおり、特に経験の少ない若い職員の知識向上などに役立っているという。アプリは現在、全国の消防職員に“無期限貸与”も行っており、入村係長は「同じ悩みを抱える人たちの役に立つ。日本の消防のためになるアプリだと思っている。消防に携わる多くの人たちに利用してもらいたい」と話している。

▼アプリの貸出規定はこちら(上越地域消防事務組合)

消防庁長官賞を受賞

同アプリが消防本部の予防業務における優れた取り組みになったとし、全国で最高賞「消防庁長官賞」を受賞した。

選考会議では56団体の応募の中から選考委員が審査。同組合が長官賞4団体の一つに選ばれた。選考委員は「消防庁でも大都市消防本部でも手をつけてこなかったシミュレーション訓練に、中規模本部が『アプリ開発』という形で挑戦し、結果に結びついたところが素晴らしい」と評価された。

伊藤消防長(左から2人目)らが管理者の村山秀幸上越市長に消防長官賞受賞を報告した(2019年6月3日)
消防アプリ2