新潟県上越市高田は2021年1月10日午後1時時点で、積雪244cmを記録し、240cmを超えたのは「3年豪雪」の1986年1月以来35年ぶり。市内の幹線道路は立ち往生が相次ぎ、市道なども通行不能な道が多く、市は11、12日のごみ収集の休止を決めるなど都市機能がまひしている。市立の全小中学校も12日に臨時休校する。同日、同市などに災害救助法が適用された。
3年豪雪と同等の降雪
新潟地方気象台によると、各地の積雪は安塚で307cm、妙高市関山で195cm。高田の8、9日2日間の降雪量は158cmで、1984〜1986年(昭和59〜61年)の3年豪雪と同等の大雪となっている。
除雪追いつかず交通まひ
市内は幹線道路も含め除雪が追いつかず交通がまひ状態となったことから、市などはエリアメールなどを使って市民に外出自粛を呼びかけた。
国道で立ち往生
国交省高田河川国道事務所によると、国道8号では、9日午後7時頃から有間川付近で大型車両が雪で動けなくなったことをきっかけに、上下線で最大250台が立ち往生した。その後、加賀交差点から下源入交差点にかけても走行不能車両が相次いだ。下源入交差点付近では、糸魚川方面に向かう下り線が止まり、半日以上車内で通行再開を待っているというレンタカー回送中の長野県の男性(67)は「新潟にはよく来るが、立ち往生するのは初めて。さすがに疲れた」と話した。
国道8号と18号が交わる下源入交差点。8号の糸魚川方面に向かう下り線で渋滞が発生(2021年1月10日午前11時過ぎ)
積雪により片側1車線に減少しているため、18号に向かう車両も渋滞に巻き込まれた
付近のガソリンスタンドのスタッフは、渋滞する車両を回り、「カップ麺を用意しているので食べて行って」などと運転手に声を掛けていた。
道ふさがれ背負子で配達も
高田駅近くの仲町や寺町などの市道などは雪でふさがれ、あちこちで車が立ち往生した。南高田町の牛乳販売店の男性は背負子で牛乳を背負って徒歩で西城町3の病院まで配達した。男性は「車の走れる道はほとんどないので、これしかない」と話していた。
市街地でも雪下ろし
仲町や本町では、多くの住民や商店主らが朝から除雪に出た。屋根には2mを超えるとみられる雪が積もり、下屋の雪を道路に下ろして流雪溝に流す人もいた。仲町の町内会関係者は「これはもう災害。一斉雪下ろしをやってほしい」と話していた。多くの住民らは「毎日でもう体ががたがたで限界」「早く降りやんでほしい」などと連日の除雪作業に疲れた様子だった。
11、12日のごみ収集休止
市は道路除雪が追いつかず、交通がまひしていることから、11、12日のごみ収集休止を決めた。13 日以降については、状況をみて検討することしており、「できる限りごみの排出を控えてもらい、自宅でのごみの保管をお願いしたい」と呼び掛けている。
全小中学校12日に臨時休校
上越市は市立小中学校と幼稚園、保育園の12日の休校・休園を決めた。小学校の放課後児童クラブも開設しない。保育園については、保護者が仕事のため自宅で保育できない家庭もあるため、問い合わせ窓口(025-526-5111)を開設した。10日は午後6時まで、11日は午前8時30分から午後6時まで、保護者からの問い合わせや相談に応じる。妙高市の市立小中学校と特別支援学校も12日は休校する。
直江津中等の入試再延期
県立直江津中等教育学校は11日に予定していた入試を24日に延期した。当初9日の予定だったが大雪で延期した。
上越市などに災害救助法適用
大雪で多数の者が生命または身体に危害が生じる恐れがあるとして、県は上越市、妙高市など災害救助法を適用した。一人暮らしの高齢者などを対象とした除雪費用を市に代わり県と国が負担する。
11日にかけても大雪警戒
気象台によると、11日朝にかけても断続的に強い雪が降る見込みで、警報級の大雪となるおそれがある。11日正午までの24時間降雪量は、上越の多い所で平地で60cm、山沿い80cmと予想されている。