高齢者タクシー料金割引の対象年齢を75歳以上に引き上げ 9月から 頸城ハイヤー

新潟県上越市西本町1の頸城ハイヤー(野本宏之社長)は2018年9月1日、高齢者のタクシー料金割り引きサービスの対象年齢を、現行の70歳以上から75歳以上に引き上げる。人口減少などで運賃収入が減少するなか、通院などの移動手段としてハイヤーやタクシーを利用する高齢者が増え、タクシー会社の経営を圧迫しているためだ。同社や同様の割り引きを実施している上越市ハイヤー協会の加盟社は、サービス維持のために行政に補助金などの支援を求めている。

高齢者料金割り引き改定の案内
頸城タクシーちらし

割引総額は当初の5倍に

同社の高齢者の運賃割り引きは、2010年7月から実施。70歳以上の料金を1割引きしている。サービス導入当初の割り引き総額は年間で約200万円だったが、高齢者の増加や運転免許の返納などで昨年度には5倍の約1000万円にまで増加し、負担が大きくなったという。

竹内二郎常務は「(対象年齢の引き上げは)やむを得ず、申し訳ない。他のサービスや利便性の向上に努めるので、ご理解をいただきたい」と話している。

同様の割り引きを実施している同市ハイヤー協会の加盟社もこの動きに追従するとみられる。

利用者の年齢確認には、これまで上越市が70歳以上の高齢者に配布している「上越市シニアパスポート」を使用していたが、9月からは75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」の被保険者証の提示を求める。

高齢者の負担減へ行政に支援求める

人口の高齢化が要因とはいえ、高齢者の負担増となる料金改定となることから、同社や同市ハイヤー協会の加盟社は、上越市に割り引きサービスに対する支援を要望している。

竹内常務は「路線バスには路線確保のため多額の税金が投入されているが、路線バスが行かない地域の高齢者の移動を支えているのはハイヤーやタクシー」として補助を求めていく方針だ。

上越市は、75歳以上で一人暮らしなどの高齢者世帯にタクシーやバスの利用券を交付する「高齢者外出支援助成」を実施している。本年度から1人あたり1800円増額し9000円にした。市では、業者側にとって利用者が増える事業も実施しているとして、割り引きサービスに対する支援は行わない考えだ。市新幹線・交通政策課は「タクシーは地域の公共交通機関の一つとして位置付けてはいるが、安価な交通手段の路線バスとは違いがある。高齢者の足の確保という意味では、現在策定中の次期総合公共交通計画の中で総合的に検討していきたい」としている。