“新生”酒蔵で新酒完成 創業218年上越市の上越酒造

2021年に公営競技場の運営などを行う「日本トーター」(東京都)の子会社となり、酒造りの再スタートを切った新潟県上越市飯田の老舗酒蔵「上越酒造」(渡邉忠義社長)で2022年3月1日、今年仕込んだ新酒の販売が始まった。長年杜氏を務めた飯野美徳会長(73)と日本トーターからの出向社員が一新した酒造設備で醸した。

上越酒造が新体制で醸造した新酒の「越後美人 初しぼり」 20220303上越酒造②

上越酒造は再スタートにあたり、昨年末に蔵の大規模改修を行い、酒造設備の一部機械化を図った。麹(こうじ)造りからもろみの仕込みに至るまで、酒造りに欠かせない日々のきめ細かい温度管理をオートメーション化するなど、少人数で安定的な通年醸造を可能にした。

それでも酒造りは人の手と長年の経験で培われた勘に頼る部分も多く、以前はオートレース場のシステム保守管理を担当していた川口正高工場長(57)は「慣れない作業で必死でした」と振り返る。

新酒の瓶詰め作業をする飯野会長(手前)と川口工場長 20220303上越酒造①

新設備での酒造りは今年1月下旬から始まり、1か月後には初しぼりを迎えた。3月1日には同社の代表銘柄「越後美人」の「初しぼり」として出荷された。酒米は上越産の酒米「五百万石」を使用している。

飯野会長は「新しい設備での初めての酒造りだったが、若々しい、いい酒が出来た」、川口工場長は「若い方にも受け入れられる酒が出来たと思う。ぜび飲んでいただきたい」と話した。

酒造り道具などを展示したフロア。トイレ入口の仕切壁は仕込み桶を再利用 DSC_8752

酒造設備の一新に合わせ、店舗も改装。「酒茶室」と呼ばれる茶室を併設して、同社の酒を販売している。奥のフロアには、もろみを袋に入れて積み重ねて上から圧力をかけて酒をしぼる「槽(ふね)しぼり」の機械や櫂棒(かいぼう)など、同社の200年以上にわたる酒造りを支えてきた道具類を展示した。トイレ入り口の仕切り壁は、かつてもろみを仕込んだ大桶を再利用した。

新酒の越後美人初しぼりは720ml入りで1870円。同社または取り扱い酒小売店で販売している。同社オンラインショップでも後日販売開始予定。問い合わせは025-528-4011(土日曜定休)。

▽上越酒造ホームページ https://www.joetsu-shuzo.com/

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