「1日あれば九州・博多まで日帰り旅行できるんじゃないの?」。2017年8月31日付の「上越妙高—博多間新幹線で1万円! JR西日本の乗り放題切符9月1日発売」という記事を読んだ人からの提案である。ネットの「乗換案内」で調べると、日帰り旅行が可能だということが分かった。TJ調査隊は2017年10月1日早朝、1万円の乗り放題切符を持って上越妙高駅を勇んで出発した。目的は「博多ラーメン」を食べて帰ること。だが、京都駅で理解不能なアクシデントが発生した。果たしてラーメンを食べて帰れるのか……。
上越妙高ー博多間の日帰り旅行は可能
「乗換案内」で調べると、上越妙高駅発で一番早い新幹線は、午前6時35分発のはくたか。途中、金沢と京都で乗り換え、博多には午後1時10分に着く。帰りは博多を午後4時10分に出れば上越妙高に午後10時38分着の最終便に間に合う。博多にはちょうど3時間滞在できる計算になる。
博多ラーメンやうどん、一口餃子を食べたり、櫛田神社や住吉神社を訪ねる時間もあるだろうか。
乗り放題チケットの利用対象期間は10月の土日曜と祝日。JR西日本全線の新幹線(かがやきは除く)・特急・普通列車の自由席が乗り放題となる。初日10月1日分のチケットが1枚入手でき、出発日を迎えた。
片道1,050kmの旅に出発
上越妙高駅から、午前6時35分発のはくたか591号金沢行に乗り込んだ。早朝のせいか、自由席はまばらだ。コンビニで買った朝食を食べているうち、約1時間で金沢に着いた。ここでJR特急のサンダーバード10号・大阪行に乗り換える。
サンダーバードは途中の福井から乗る人が多く、ほぼ満席に。北陸トンネルを抜けて湖西線に入ると、左手に雄大な琵琶湖が望めた。約2時間後の10時11分、京都に到着。すごく早い。ここからJR新幹線ののぞみ15号に乗り換え、一路博多を目指す。
理解不能のアクシデント発生!
京都駅では新幹線に乗り換える改札口で、切符を自動改札機に入れた。すると、警告チャイム音とともに扉(フラップドア)が閉鎖されたのだ。
係員が駆け付けたので切符を見せると「ここはJR東海です。この切符では乗車できません」。
予期せぬ出来事に頭の中は真っ白に。「JR西日本のエリアなのに、なんで京都駅がJR東海なのか?」。事態がまったく理解できない。スマホで路線図を見ても分からない。
「忙しい時期に、とぼしい取材費を使って挑戦したのに、これでは記事にはならない」と悲観にくれた。
気を取り直し、事態を打開しようとスマホで検索を始めた。15分後にようやく、東海道新幹線(東京~新大阪間)はJR東海が管轄しており、京都~新大阪間はJR東海のエリアだということが分かった。新幹線の座席を早めに確保するため、京都で新幹線に乗り換えようとしたのがいけなかった。サンダーバードで新大阪まで行って、新幹線に乗り換えれば良かったのだ。
「新大阪へ行けばいいんだ!」。ちょうど来た在来線の新快速に飛び乗って25分。ようやく新大阪の自動改札を通過することができた。
九州日帰り旅行に “のぞみ” をつなぐ
午前11時12分発の新幹線のぞみ19号に間に合った。まさに九州日帰り弾丸旅行に“のぞみ”をつないだ。当初予定から1時間遅れとなるが、なんとか目的は果たせそうだ。
午後2時10分。終点の博多駅のホームに新幹線が滑り込んだ。上越妙高駅から片道1,050km。トラブルもあったが、7時間35分かけてついに九州・博多にたどり着いたのだ。
博多駅で「一蘭」のラーメンを食べる
博多駅がある福岡市は150万都市だけあって、駅もスケールが大きい。駅直結の複合施設「アミュプラザ博多」には380を超える店舗が並び、阪急百貨店や、レストランゾーンなど、まるで一つの町のようだ。
さて、今回の旅行の目的である「博多ラーメン」。駅周辺の店を検索すると「一蘭 博多店」が見つかった。カウンターに暖簾と仕切りを設けた「味集中システム」や、スープの濃さ、こってり度、辛さ、麺の硬さなど7項目で指定できる「オーダーシステム」などで知られる人気店だ。
Googleマップで調べると、目指す店は駅の近くの地下1階なのだが、なかなかたどり着けない。結局、通りかかった警備員の男性に尋ねたら、親切なことに店まで案内してくれた。案内しないと分からないような場所に店はあったのだ。
午後2時半を過ぎていたのに、店の前には行列が。中国人観光客が半分近くを占めていて、スマホで写真を撮ったり、にぎやかだ。
20分ほど並んで、自動販売機で食券を買う。メニューはラーメン(890円)のみ。トッピングに半熟ゆでたまごと、ライスを追加した。ストレートな細麺と、まろやかでこくのある上品なスープ。あまりのおいしさに、替え玉まで追加してしまった。
ようやく帰路に。座りっぱなしで14時間
名物の一口餃子やうどんも食べたかったが、時間が足りない。土産や夕食の弁当を買っていたらタイムアウト。帰りの新幹線は座りたいので、20分前から並んだ。
博多発午後4時10分ののぞみ48号に乗り込んだ。新大阪でサンダーバード41号、金沢で最終便のはくたか590号に乗り換えればいい。あとは、乗り過ごさないよう気を付けなければ。
午後10時38分。はくたか590号が上越妙高駅に到着。往復の所要時間は約14時間。尻と腰が痛くなったが、往復とも着座できたので助かった。
長い長い一日がようやく終わった……。