「山鳥毛」購入へ瀬戸内市長が記者会見 「上越の取り組みあったからこそ」 上越市での展示も示唆

新潟県上越市が取得を断念した上杉謙信の愛刀で国宝の「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」の購入を目指す岡山県瀬戸内市の武久顕也市長は2018年10月23日、東京都内で記者会見を行い、購入費となる「5億円」を目標としたクラウドファンディングを11月1日から実施すると発表した。武久市長は「上越市の取り組みがあったからこそ今回の話になった。購入が実現したあかつきには、門外不出にすることなく文化財を通じた交流をやっていきたい」と述べ、将来上越市での山鳥毛の展示の可能性について示唆した。

クラウドファンディングの返礼品となる山鳥毛の写し(レプリカ)を前に意気込みを語る瀬戸内市の武久市長
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上越市と交渉決裂後、瀬戸内市に打診

山鳥毛は備前刀の最高峰とも言われ、現在は岡山県在住の個人が所有し、岡山県立博物館に寄託されている。上越市は昨年、専門家による評価額3億2000万円での購入を目指し所有者と交渉したが、最終的に契約金額が折り合わず断念した。その後所有者は今年1月、山鳥毛を制作した刀工一派「福岡一文字派」の拠点がある瀬戸内市に5億円での売却を打診。瀬戸内市は4月に、山鳥毛を「生まれ故郷の地に里帰りさせる」として購入する方針を表明していた。

瀬戸内市長「上越市民の無念を受け止める」

記者会見で武久市長は購入を断念した上越市について、「同じ首長として上越市長さんや上越市民の皆さんの思いは本当に無念だったろうと思う。そういった思いもしっかりと受け止めていかなければならない責任がある」と話した。「上越市の取り組みがあったからこそ今回の話になったというご縁がある。購入が実現したあかつきには、門外不出という考え方ではなく、文化財を通じた交流をどんどんやっていくことが文化財を活かすことに繋がる」と述べた。

さらに、「まだ購入できていないので、言いたくても言えないところもあるが、これをご縁に(上越市と)いろいろなおつきあいができればいいと思う」と話し、山鳥毛の上越市での展示の可能性を示唆した。

会見した武久瀬戸内市長
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5億円目標にクラウドファンディング

11月1日からスタートするクラウドファンディングの目標額は、瀬戸内市による評価委員会が山鳥毛の価値と結論づけた「5億円」。このうち、ふるさと納税を活用した自治体クラウドファンディングで2億8000万円、近年日本刀ファンが増加している海外向けクラウドファンディングで2000万円、企業版ふるさと納税で2億円を調達する計画。

返礼品は名工による写しなど

クラウドファンディングの期間は2019年1月31日まで。広く支援を呼びかけるためさまざまな返礼品を用意している。2880万円を寄付した場合は現代刀工界屈指の名工と言われる大野義光氏による山鳥毛の写し(レプリカ)がもらえる。このほか金額に応じて太刀や脇差、山鳥毛記念包丁など。1万円の寄付では刀匠によるペーパーナイフもある。企業版ふるさと納税は、2019年3月末まで。

期限内に目標金額が集まらなかった場合は、期間の延長などについて所有者と協議するという。

「税金は使わない」

武久市長は「『税金は使わない』という市民との約束でプロジェクトを進めていく。小さな自治体ではあるが岡山の刀剣王国の誇りをかけてがんばっていきたい」と強調した。

上越市で集まったのは7345万円

上越市は2016年9月から購入交渉が決裂した昨年11月までに、市民や企業から合計7345万円の募金や寄付金を集めた。購入断念後、返還希望があったのは、このうち約15%に相当する1106万円分で、残りは「市で役立ててほしい」などとする寄付者の意向に従って、市の歴史博物館改修や春日山城跡の保存管理などに充当されている。

▼瀬戸内市の山鳥毛里帰りプロジェクトのページ
 https://setouchi-cf.jp/

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