紙だけで作った戦艦「大和」 上越市の高校生の大作を上越科学館で期間限定展示

新潟県上越市下門前の上越科学館に2023年4月、ダンボールなどの紙だけで作り上げた全長約157cmの戦艦「大和」の模型が登場した。同市の高校生が自ら設計、制作した作品で、実物の166分の1スケールで大砲などの設備も細やかに再現している。

全長約157cmの戦艦「大和」の模型と制作した岩澤さん

制作したのは市内の高校1年生、岩澤謙心さん(15)。ものづくりが好きだった岩澤さんは、小学3年生の頃から主に割り箸を使い、船や戦車の模型を作り始めた。モデルとなる船を調べるうちに、「実在する船をどれだけ精密に作れるか」と興味を持ち、曲線などをより忠実に表現できる紙での作品作りに挑戦している。

戦艦大和は紙で作った最初の作品で、中学2年の夏頃から1年7か月かけて完成させた。インターネットなどで船の実寸を調べて縮尺を出し、細かな部品はプラモデルのパーツや実際の写真を参考に設計。骨組みにはダンボール、その他の艦橋や煙突、主砲、航空機を射出するためのカタパルトなどは全てティッシュペーパーや菓子の空き箱で作った。

骨組みや甲板はダンボール、艦橋や大砲などは全て空き箱を使用

当初は同館主催の「上越こども発明工夫・模型・工作展」への出品を考えていたが、規定サイズの最大辺90cmを上回ることから断念。別の形で多くの人に見てもらえないかと考えた岩澤さんの家族が同館の永井克行館長に連絡し、ゴールデンウィークに合わせて展示が実現した。

永井館長は「バランスがとれていて、再現度も高く、人目に触れないのはもったいないレベル」と太鼓判を押す。特に再現度については、甲板部分のダンボールはカッターで切り込みを入れて木目を表現したり、大砲の筒や手すり、はしごなど細かい部品は加工しやすいようにと空き箱の層を最大4枚に剥がして強度を調整したりとこだわっている。主砲や測距儀は360度回転させることもできる。

紙の強度を調整しカタパルトやクレーンも精密に再現した

岩澤さんは「自分の設計で立体として形やバランスが上手にできた時が楽しい。細かいところまでじっくり見てもらい、紙で工作をしてみようと思うきっかけになればうれしい」と話していた。

展示は同館教養資料室で5月28日まで。観覧には入館料が必要。小中学生310円、高校生以上620円、65歳以上460円、未就学児無料。3〜7日のゴールデンウィーク期間中は実験ショーなどのイベントもある。開館時間は午前9時〜午後5時。月曜休館。