高田と長野の古い映画館同士が交流

長野県長野市から「高田世界館を見に行こうツアー」の一行16人が2010年5月9日、上越市本町6の高田世界館を訪れ、昨年2月に「近代化産業遺産」に認定されたレトロな雰囲気あふれる館内を見学し、上映中の日本映画「晩春」を鑑賞した。

長野市にある築100年を超す映画館、「長野松竹相生(あいおい)座・長野ロキシー」を生かしたまちづくりを模索している長野郷土史研究会青年部(小林竜太郎部長)が、今年3月、同館の見学会を開催したところ多くの映画ファンが集まった。

これを知った上越タウンジャーナルでは、上越市にも日本最古級と称している映画館「高田世界館」があることから今年4月、高田文化協会の河村一美事務局長をレポーターとして実態を取材した。その模様は「長野市にもあった! 日本最古級の映画館」と題して掲載した。

それが契機になり、今度は逆に同じ世界最古級である高田世界館を見学しようと、小林部長が呼びかけたところ、予想を上回る人から応募があった。

古い建築様式が残る外観を見る参加者

正午に高田駅に到着した一行は昼食後、高田世界館に集合し、榊原家の家紋入りの漆喰レリーフ、柱の装飾、2階のバルコニー席や階段の手すりなど、レトロな雰囲気あふれる館内、1955年製の映写機がある映写室などを見学した。

1955年製の映写機がある映写室

小津安二郎監督の代表作「晩春」(1949年)を鑑賞した後、NPO法人街なか映画館再生委員会の岸田國昭代表や、中心メンバーで一級建築士の関由有子さん、上越映画鑑賞会の増村俊一会長が、同館の概要や活動内容などを説明した。

岸田代表がこれまでの経緯、館の概要などを説明

見学会を振り返り、長野郷土史研究会青年部の小林部長は「古い様式が残っていて、空間はぬくもりを感じさせる。広い舞台があり、映画以外のイベントに使えるのもいい。何よりも、地元のみなさんが一生懸命に守っていく気持ちに打たれた」と話す。

長野松竹相生座・長野ロキシーの田上真理支配人は、特に2階のバルコニーの様式に感心した様子で、「昔のままこんなに残っているのに驚いた」と言う。

建築上の解説をした関さんは「高田と長野の古い映画館のつながりが、これを契機に広がっていけばいいなと思う」と、今後の連携について述べた。