上越市議会(定数48)は2010年5月20日、臨時議会で議長以下役員の改選を行い、議長には市議会第2会派、創風クラブの滝沢逸男氏(60)、副議長には最大会派、新政の岩崎哲夫氏(57)が、それぞれ選出された。議長人事の決定過程やその内実、総括を議員ブログを通して見てみよう。
同市議会ではこれまで副議長経験者から議長を選ぶのが慣例だったが、今回の議長選はこれを破った人事だった。最大会派の新政には改選まで副議長を務めた古澤弘氏(70)がいて、通常なら議長最有力候補と言ってもおかしくなかった。にもかかわらず、第二会派の滝沢氏に議長を譲るという形の不可解な決着を見た。
最大会派は5月1日に2会派が合併してできたばかり。これに第二会派を足すと48のちょうど半数の24人。この2会派で話しあって決めれば、ほかがどう考えようと内定する。今回はそういう構図だった。
こうした状況に対し市民ネット改革・中川幹太議員は「ポスト欲しさの談合」「出来レース」と痛烈な批判を浴びせている。また今回の構図では筋が通らないとして議長、副議長に独自候補を立てた共産議員団・橋爪法一議員は「本来ならば、候補者の所信表明を聴いた後に議員間でも話し合い、誰がベストかを判断する、そして選挙する、そういう流れにしなければなりません」と書いている。
これに対して最大会派代表者として新政・栗田英明議員は「ポスト目当てではもちろんない。他会派と『談合』したものはない」「古澤氏を出すなら当然議長狙いではあるが、副議長経験のない岩崎議員を出すのだから副議長候補として送り出したのだが何か問題だろうか?」などと反論している。
最大会派で副議長経験者の古澤氏は昨秋の市長選で村山秀幸市長の対立候補を応援した。一方、議長に就任した滝沢氏は村山氏の選対幹事長を務めていた。さらに最大会派の新政結成の際、「村山市政を積極的に支持していく」と会派の基本理念に明記している。このようなことを背景に「圧倒的多数が市長与党で議会の役割を果たせるのか」(市民ネット改革・滝沢一成議員)という市長と議会の二元代表制への懸念も出ている。