市議リコールに経費1172万円 やるせぬ思いの妙高市民

妙高市で水野文雄市議会議員の解職の賛否を問う投票が2010年5月30日に行われる。補正予算として計上された解職投票費は1172万5000円にのぼる。地方自治体のこれからの進むべき道を問うような、平成の大合併で行われた住民投票や、巻原発の是非を問う巻町の住民投票など”前向き”の直接請求に対し、今回の解職請求は議員の飲酒上の失態に伴う”後ろ向き”のものだけに、高い民主主義のコストに市民の間にはやるせない思いが充満している。

妙高市役所

この解職請求に伴う経費の負担は、解職請求した側でもされた側でもなく、自治体が負担する。つまり税金でまかなわれることになる。

妙高市の2010年度一般会計補正予算に市議会議員解職投票費として1172万5000円が盛り込まれた。

内訳は投票管理者や立会人などの報酬として126万6000円、職員の時間外手当などが783万3000円、臨時職員賃金が29万8000円、投票入場券作成委託料50万円、印刷製本費20万円、開票所用品等借上料10万円など。

署名活動を経て住民投票を請求したのは市民団体「妙高の安全で安心な学校を守る会」(白川昭夫代表)で、昨年9月に水野市議が酒に酔って女性教諭に暴言を吐いたことを問題にし自主的な辞職を求めた。同市議会も辞職勧告決議案を可決した。それに対し水野議員は、一時辞意を表明したが撤回し、住民投票を求めた署名活動の不当性などを訴えている。

水野市議は2007年に市議選の新井選挙区(旧新井市)から出馬して当選しており、4期目。今回の解職投票は同選挙区の有権者2万1640人(3月2日現在)を対象に行われる。

同市選挙管理員会は「学校で習っただけでなじみのない直接参政権制度だが、市民の”伝家の宝刀”でもあり、たいへん重くみている。せっかくの権利を放棄しないよう投票してほしい」と呼びかける。

解職の賛否は、有効投票の過半数で決定する。賛成票が有効投票数の過半数に達した場合に市議は失職し、過半数に満たない場合は失職しない。

投票は同選挙区の19投票所で行われ、5月30日午後8時に締め切られる。開票作業は同9時から行われ、同9時45分ごろをめどに確定票が発表される。