治水と流雪溝用に儀明川ダム 現行案が有効

国のダム事業見直し方針を受け、本体未着工の補助ダム事業で県の検証対象となっている上越市の儀明川ダムについて新潟県は2011年2月15日、上越文化会館で流域住民や首長の意見を聞く懇談会を開催し、現行のダム案での整備が有効であると説明した。今冬の豪雪もあり参加者からは「流雪溝が利用できるよう早期に建設してほしい」という声が相次いだ。

上越文化会館で開かれた儀明川ダム流域懇談会

県が設置した学識者による「県ダム事業検証検討委員会」は検証対象となっている県内4ダムのうち、儀明川ダムについてはコスト面や治水、利水などの目的の実現性などから、現行のダム案が有効としている。一方、ほかの3ダムについてはダム以外の方法を有効としている。

検討委のこれまでの検証結果によると、儀明川ダムは現行通り洪水調整と流雪溝での水の利用を目的とした治水と克雪の多目的ダムとするのが適当で、総事業費は238億円。このうち09年までの支出済額は72億3000万円で、残る事業費は165億7000万円。
 現行の県のダム建設予算が今後も続くという前提で試算した場合、完成は最短で2029年度、長くて2039年度ごろと見込んでいる。

この日の懇談会には流域住民による建設促進団体や町内会長のほか、村山秀幸市長ら8人が出席。出席者は「今年のような豪雪では市街地の流雪溝が必要。私たちの目の黒いうちに一日も早く作ってほしい」と流雪溝のためにダム建設を求める意見が相次いだ。

村山市長は「市民の生命と財産を守るということについてこのダムの効用は高い。工期について30年という話も出たが、地元として確実に協力するので県には一日も早くお願いしたい」と要望した。

検討委は今回の懇談会の意見を参考にしながら今年5月ごろをめどに県に対応方針を提言する予定。

県ではこの件についてパブリックコメントを実施しているほか、電子会議室も開設し意見を受け付けている。
 パブリックコメント→http://www.pref.niigata.lg.jp/kasenseibi/1297108908017.html
 電子会議室→http://www.pref.niigata.lg.jp/kasenseibi/1297108880529.html