身寄りのない猫を保護し、新しい家族との出会いをサポートする「保護猫ハウス 猫やなぎ」が2022年9月3日、新潟県上越市大潟区潟町にオープンした。同所の自営業、柳澤龍磨さん(38)と妻で会社員の宜子さん(39)が運営し、里親希望の人だけでなく、地元住民など誰でも自由に交流できる「猫のいる地域の茶の間」を目指す。
3年前から自宅敷地内に野良猫が出入りするようになり、気にかけていたという2人。昨年5月にけがをしていた1匹を保護し、里親探しから譲渡までに成功した経験がきっかけで、「うちにいる野良猫たちも幸せになれる道があるのでは」と今年3月にオープンを思い立った。
自宅ではすでに譲り受けた捨て猫など保護猫3匹を飼っており、自宅近くに所有する空き家をハウスとして活用した。人への警戒心を解くことはもちろん、独り身の高齢者が多い地域柄などからコミュニティーの場を作りたいと考えていたこともあり、誰でも自由に出入りできるようにした。
捕獲や譲渡のノウハウは同市の動物保護支援団体「しっぽのなかま上越」の協力で習得し、6月に推定2〜5歳の5匹を保護。去勢や避妊手術、ワクチン接種などを終え、回復やハウスの環境に慣れるのを待ってオープンを迎えた。
猫たちがいるのは1階の14畳の居間で、ケージのほか、ソファーやテーブルなども設置し、人がくつろげるスペースを確保した。まだ警戒心が強く、ケージから出て来ないことが多いが、猫たちの様子を見守ったり、ケージの外からおもちゃで遊んだりできる。
初日には地域住民らが猫に会いに訪れたほか、活動趣旨に共感したという同区のボランティア団体「大潟ライオンズクラブ」(縄一昭会長)からはえさとトイレ用の砂が贈られた。
朝晩のえさやりや掃除のほか、仕事の合間を縫ってハウスに顔を出している2人。宜子さんは「世話をする時間が限られてしまうので、良い家族の元で生活に溶け込んで、伸び伸び暮らしてほしい」と願う。
柳澤さんは「日中1人で家にいる高齢者や学校帰りの子供など、世代を越えた交流ができる場にしたい。地域の茶の間だと思って好きに使ってほしい」と来場を呼び掛けている。
住所は上越市大潟区潟町565-1。入場料は無料。飲み物や菓子が用意されているほか、Wi-Fiもあるため仕事をしたりと自由に過ごせる。駐車場は敷地内などに4〜5台分がある。営業時間は午後1時から同6時まで。不定休で、休業日はインスタグラムで周知する。