新潟県上越市は2022年9月7日、同市居多に建設する新上越斎場の基本設計を市議会厚生常任委員会に示した。新斎場は火葬炉を1炉増やして5炉とし同時に2炉が使用できるほか、待合室を左右に分けるなどし遺族同士が交錯しないプライバシーに配慮した設計となっている。事業費は約22億5000万円で、2024年12月に供用開始予定。
1985年に建設された上越斎場は今年で築37年を迎え、老朽化しているため建て替える。新斎場の建設地は現斎場(同市居多)から市道を挟んだ北西側で、敷地面積は約8000平方m。鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積は約2385平方m。建物は周囲の山並みや海に調和する大屋根を設けた和風モダンのデザインで、市民の日常の風景に調和する親しみやすい斎場とする。
火葬炉の性能アップで火葬時間は現在の1時間50分から35分短縮され1時間15分になり、告別から火葬、収骨までの所要時間は45分短縮され1時間45分となる。火葬炉の増加や同時使用、時間短縮で、1日の受入件数は現在の11件から15件に増加し、団塊の世代の死亡が増加する2035〜39年の火葬需要のピークに対応する。
告別室3室、待合室5室、待合ホール2か所のほか、キッズコーナーや授乳室を設ける。待合室を左右に分け、エントランスホールは化粧壁で区切って二つの通路とすることで、遺族同士が交錯することなく同時移動や交互通行ができ、プライバシーに配慮しながらスムーズに儀式が執り行える設計とした。
建物入り口の車寄せの軒は奥行き14m以上、長さ45m以上あり、雨や雪から棺を守るほか、2家族同時に霊柩車やバスが停車できる。
また現斎場の跡地は、火葬炉の跡地部分には桜を植樹し鎮魂の場とするほか、散策路や駐車場を整備する。斎場全体の駐車台数は、普通車55台、マイクロバス5台、大型バス3台となる見込み。
今後のスケジュールは、本年度内に実施設計を行い、来年度に着工、2024年12月に供用開始の予定。その後2025年度に現斎場を解体し、跡地整備を行う。