魚住かまぼこ店のカラムシ入り「義の口福箱」 第73回全国蒲鉾品評会で大日本水産会長賞受賞

新潟県上越市春日新田5の「口福の店 魚住かまぼこ店」(田村博店主)が製造するカラムシ入りのかまぼこ「上杉謙信公 義の口福箱」がこのほど行われた「第73回全国蒲鉾品評会」(日本かまぼこ協会主催)で大日本水産会長賞を受賞した。同店は「今後も創意工夫を重ねていきたい」などと話している。

第73回全国蒲鉾品評会で大日本水産会長賞を受賞した「義の口福箱」

同店は2014年、後継者がいない先代店主ののれんを守るため、一般財団法人上越市環境衛生公社が事業を承継。新商品を続々発表するなどし、事業承継後の2017年からは品評会に毎年出品し、「枝豆くん」「酒粕の力」「もずくの力」などが「全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会長賞」に入賞してきた。なお、先代時代の35年前には、同品評会に出品した「昆布巻き」が最高賞に次ぐ水産庁長官賞を受賞している。

今回受賞した「義の口福箱」は同市春日地区で採取したカラムシの若芽ペーストをか板付きまぼこに塗り、金、銀箔をのせた桐箱入りの豪華仕様。2本入り5400円とかまぼことしては高価だが、20年の発売以降、結婚式の引き出物や、出産や入学など、慶事の内祝いを中心に贈答用に利用されている。

金、銀箔をのせた桐箱入りの豪華仕様

カラムシはイラクサ科の多年生植物で、カラムシから取り出した繊維「青苧(あおそ)」は戦国時代には上杉謙信の財源を支えたと言われている。同店では「上越を代表する土産品、贈答品を作りたい」と、カラムシを使用したかまぼこの商品化に向け、試行錯誤してきた。

田村店主は今回の受賞を喜び、「試作を繰り返し、6年半かけてようやく完成した商品。(商品を通し)上越や上杉謙信の歴史をもっと知ってもらいたい」。また、「小さな町工場。少ないスタッフたちが頑張り、よくやってくれている。アイデアを出して工夫をし、先代に恩返しするためにもこれからも挑戦を続けたい」と語った。

「義の口福箱」は1週間前までに予約が必要。地方発送も受け付ける(送料などは別途)。営業時間は午前9時30分から午後6時。定休日は年末年始。問い合わせ、予約は同店025-543-2438