上越市立小猿屋小学校(梅澤崇校長、児童80人)は市立春日新田小学校の一部と統合され2018年4月から、新設の市立有田小学校となる。3月17日には「校舎お別れ会」が開かれ、児童や保護者、地域住民らは思い出の詰まった校舎に「ありがとう」と手を振りながら別れを告げた。
小猿屋小は1874年5月、現在の三和区に郷学校を開設した地元の偉人、笠松宗謙の私塾「小猿屋校」として創立され、144年の歴史がある。開校直後には、火災や暴風による被害で校舎が崩壊。「災難を逃れ、終わりを全うしたい」との願いから、1884年に校名を一時、「有終校」へと改称した。有終校の名は、小猿屋小の校歌でも歌われているほか、同窓会の名称にも用いられるなど、同校の歴史の一つとして今日まで語り継がれてきた。
小猿屋小は全校児童が80人と減少傾向にあるため、4月からは春日新田小(全校児童808人)の一部と統合され、新設の有田小学校となる。春日新田小は5年生以下の児童682人のうち347人が有田小へ通うことになっており、有田小には来年度の新1年生を含めて約520人の児童が通う。有田地区は大規模な住宅地開発により人口が増加していることから、数年後には700人の児童が通う見通しとなっている。
先人の思いが実を結び、小猿屋小としては有終の美を飾ることとなったこの日の「校舎お別れ会」には、児童や保護者、卒業生ら約200人が出席。144年の歴史や行事などをまとめた記念のDVDが上映され、思い出を振り返った。児童たちが「校舎で過ごした思い出は決して忘れない」などと別れの言葉を発表した後、出席者全員で校歌を合唱した。
終了後、児童や保護者、地域住民らが見守る中で梅澤校長によって玄関に鍵がかけられ、「ありがとう」と手を振りながら思い出の校舎に別れを告げた。
梅澤校長は「多くの地域の方々の協力があって144年も続いてきた。学校に関わっていただいた皆様に感謝しています。今日は有終の美を飾ることができて感無量です」と話していた。