環境? ストレス? 「パフォーマンス実施は慎重に」イルカ2頭の死で上越市議会が市側に要請

昨年6月にオープンした上越市立水族博物館「うみがたり」でバンドウイルカ4頭のうち2頭が死ぬという異例の事態について、同市議会は2019年3月13日、原因の徹底究明とイルカのパフォーマンス実施について慎重を期すよう総務常任委員会の総意として市側に要請した。

オープン9か月で4頭中2頭死ぬ

バンドウイルカ4頭によるパフォーマンスは同館の目玉の一つ。オープン翌月の昨年7月12日、推定8歳のメスの「サシャ」が感染性肺炎による敗血症で死んだ。さらに今月10日には推定7歳のメスの「アルク」が死んだ。詳しい原因は調査中だが、すい臓に病変が見られたという。

昨年6月のオープン式典では4頭がそろってパフォーマンスした DSC_4704-2

水槽狭くストレス? パフォーマンス過酷?

市議会総務常任委員会では、議員から1年以内に4頭中2頭が死んだことについて、質問が相次いだ。「プール(水槽)が狭くストレスを感じているのではないか」、「毎日パフォーマンスをやらせるのは過酷なのでは」、「2頭しかいないが今後の方向性はどうか」などさまざまな角度からの質問が出た。

今後も4頭体制目指す

市は今後の方向性について、イルカをめぐる国際世論などから入手が困難な状況にあるとした上で「4頭体制が基本で、昨年1頭が死んだときから4頭に戻すべく知恵を絞って努力している」と答えた。

また、うみがたりの指定管理者の横浜八景島が運営する水族館では20数頭飼育しているうち、年間に1、2頭の死亡例があることも明らかにした。

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「水槽、ストレスが要因ではない」

市によると、イルカが暮らす水槽は、メイン水槽、サブ水槽、治療専用のホスピタル水槽の3つがある。市は、「水槽の設計ではイルカの飼育経験豊富な横浜八景島の意見をそのまま反映した。設計者はイルカの水槽の設計経験がある」と説明。「水槽が問題とは考えていない。狭くてストレスでという環境が要因とは考えていない」との見解を示した。

パフォーマンス一時中止求める意見も

また、複数の議員から、外部の専門家を入れて原因が究明されるまでは、イルカによるパフォーマンスを一時中止すべきとする意見も出た。同館は年中無休で、イルカは交代で毎日パフォーマンスを続けている。塚田弘幸企画政策部長は「1年足らずの間に2頭が亡くなり、ショッキングで残念でかわいそう。残る2頭でのパフォーマンスについては横浜八景島の判断を信頼したい」と答えた。

委員会の総意で原因究明など要請

総務常任委員会では、同館の管理運営費を含む新年度予算案の採決に先立って委員同士で対応を協議した。その結果、大島洋一委員長が、①イルカの死に関して徹底的な原因究明を行うこと②原因が明確になるまで現存2頭によるパフォーマンスに慎重を期すこと──を委員会の総意として市側に求めた。

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