=2015年11月8日=
コンピューターを動かす命令を作成する「プログラミング」を、小学生のうちから学ぶ取り組みが注目される中、国立大学法人上越教育大学(新潟県上越市)の大森康正准教授と、キャスタリア株式会社(本店:長野県長野市、本社:東京都港区)は、このほどプログラミング教育の指導者を養成する共同研究をスタートした。
難解なプログラミングをゲーム感覚で体験できる学習用のプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」などの登場で、小学生でも簡単に扱え、上達するとかなり高度なソフトまで作れるようになった。ウェブブラウザで動くため、パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレットでも使える。
2015年4月、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が発表した「IT人材白書」によると、国内のIT企業の87%で人材が不足しているという結果が出た。業界が成長する中で、今後はより多くのエンジニアが必要とされ、その教育・育成は不可欠なものとなっている。
大森准教授は、同大の情報メディア教育支援センターで、小学校から高校までプログラミングに関する一貫した教材の開発を手がけ、中高生を対象にしたプログラミング入門教室なども開いている。しかし、公教育だけではなく、私教育にも指導者が不足している現状から、指導者を養成する教育プログラムを配信するため、モバイルラーニングプラットホーム「Goocus(グーカス)」を持つキャスタリアと共同研究を進めることになった。
現在はアプリケーションに入れるコンテンツの開発を進めており、動画やテキストなどを使って段階的に学べるものとなっている。大森准教授は、「素人でも大丈夫。子育てが一段落した主婦でも学べる」と話す。キャスタリア側では事業としての展開も計画している。
首都圏などでは、子供を対象としたプログラミング講座に希望者が殺到している状況だが、地方では指導者もいないことから、格差が生じている。大森准教授は「多様な課題について、共同研究により解決の一方法を提示できるのではないかと期待している」と話している。