新潟県上越市の指定ごみ袋の一部に破れやすい不具合があった問題で、市が不具合を2016年7月から認識していたにもかかわらず、公表したのは約5か月後の12月9日だった。市はレシートなどでの交換の措置を発表したものの、何も知らずに購入した市民に責任を押し付けた形となり、市民からは「自分が悪かったと思って処分した。レシートなんて捨ててしまった」など市の対応を批判する声が挙がっている。
苦情の市民にだけ個別対応
市生活環境課によると、今年3〜5月に製造された「燃やせるゴミ」と「生ゴミ」用の袋の一部に強度が足りず、破れやすい欠陥があった。原材料を変更したことが原因で、7月中旬から市に苦情が寄せられ始めた。市は欠陥の事実を公表しないまま、苦情を申し立てた市民に対してだけ、個別に不具合のあったことを伝え、袋の交換に応じる対応を続けてきた。
公表せず売り切れ待つ
同課によると3〜5月に製造された袋は通常7月から店頭に並び、10月にはほぼ全て売り切れて店頭からなくなるという。同課の山田敏寛課長は取材に対し「個別対応で10月頃には問題は収束すると思っていた」と説明しており、当初から欠陥を公表しないまま、袋を市民に購入させることで店頭から一掃し問題を収束させる計画だった。しかしその後、10月以降も苦情が収まらなかったため、11月に入って店頭にある袋を回収したと説明している。
市は12月9日、上越タウンジャーナルなどの報道を受けて、不具合を公表し、同日から袋の交換を始めた。
交換には袋が必要
交換は、レシートがある場合は、販売した店舗で、レシートがない場合は市生活環境課か製造業者で交換できるが、いずれも破れた袋が必要。しかし、欠陥のある製品が店頭に並んでいた7〜10月に、欠陥の事実が公表されていなかったことから、「今更言われてもとっくに捨ててしまった」「自分が悪かったと思って処分した。レシートなんて捨ててしまった」「どこで買ったかも分からない」といった声が上越タウンジャーナルのFacebookページなどに寄せられている。
「反省すべき点はあった」
欠陥を公表してこなかったことなど今回の対応について、市生活環境課の山田課長は「結果的には事実関係を精緻に調査した上で影響を見極めて対応すべきだった。反省すべき点はあった」としている。