厚生労働省は2019年9月26日、全国1455の公的な病院のうち、がんや心疾患などの診療実績が少ない424病院を再編統合の議論が必要な医療機関として公表した。新潟県上越地域では上越市3病院、妙高市2病院の合計5病院が含まれている。厚労省は、原則2020年9月末まで結論を求めている。
上越地域の5病院は次の通り。
▼上越市
- 上越地域医療センター病院
- 新潟労災病院
- 県立柿崎病院
▼妙高市
- 県立妙高病院
- 厚生連けいなん総合病院
再編検討リストに挙がった上越地域医療センター病院(上越市南高田町)
厚労省は、団塊世代が75歳以上となり医療費が増加する2025年に向け、公立・公的な病院をへき地医療や救急、小児など民間では採算の合わない医療に特化するよう求め、全体の病床数削減を進めている。
今回の調査では、重症な患者に対応する「急性期」病床のある1455の公立・公的な病院について、①がん ②心疾患 ③脳卒中 ④救急医療 ⑤小児医療 ⑥周産期医療 ⑦災害医療 ⑧へき地医療 ⑨研修・派遣機能──9項目の診療実績を分析。約3割にあたる424病院が「実績が特に少ない」「車で20分以内の近隣の病院で代替できる」とされた。
新潟県内は調査対象となった41病院のうち半数を超える22病院が該当し、都道府県別では全国最高の割合となった。
上越地域で該当した5病院のうち、上越市が設置する上越地域医療センター病院は、2025年度の新病院開院を目指して改築計画が進んでいる。昨年度に基本構想を策定し、本年度に基本計画を策定、2020年度に基本設計、2021年度に実施設計を完了し、2021年度着工というスケジュールだ。
同市の地域医療推進室の小林元室長は「センター病院は回復期機能やリハビリなどの受け入れを目的とした病院で、小児や周産期はない上、脳卒中や心疾患なども、もともと目指していないので厚労省の調査項目では評価は低くなる」と分析した上で、「地域にはかかせない病院なので、今後改築計画にどのような影響があるのか読めないが、正式な通達を待って見極めたい」と話した。