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【TJ調査隊】「東洋一のハス」の高田公園より「日本一のハス」の伊豆沼が20倍広かった!

5日前

新潟県上越市の高田公園の外堀約19haを埋め尽くすハスを、上越市民は「東洋一のハス」として自慢している。だが、「東洋一」の根拠はあるのか。もっと大規模なハスの生育地があるのではないか。わがTJ調査隊は、はるばる宮城県まで調査団を派遣したのだった。

ハス博士は「東洋一」とは言っていない

高田公園のハスが「東洋一」と言われるようになったきっかけがある。1953年(昭和28年)8月4日のことである。2000年以上前の古代ハス(大賀ハス)の実を発見したことで知られるハス研究の世界的権威、大賀一郎博士が高田図書館で講演した。

その時の記事が新潟日報紙に掲載されている。大賀博士は「高田城址のハスを見たいと思ってから20年目にようやく念願がかなってうれしい。蓮池としては日本で一番大きなもの」と述べている。博士は「東洋一」とは言っていない。

とにかく、博士が「日本一」の折り紙をつけたため、それを伝え聞いた市民は「東洋一」と吹聴するようになったらしい。

高田公園のハスのルーツは?

1868年(明治元年)の戊辰戦争の後、官軍への戦費調達と凶作のため、高田藩の財政は逼迫した。藩の窮状を救おうと、戸野目の大地主・保阪貞吉が1871年(明治4年)、大金を投じてレンコンを採るためのハスを植えたのが始まり。レンコンの採取は、堀に小舟を浮かべて晩秋まで行われた。ハスは在来種の和蓮で、レンコンは細長くて穴が大きかった。味も現代人の好みには合わず、レンコン採りは1962年(昭和37年)を最後に中止された。

高田公園外堀のレンコン掘り(1958年9月下旬、上越市稲田2の田村正信さん撮影)
レンコン掘り

高田公園のハスは本当に「東洋一」だろうか

高田公園外堀の面積は約19ha。このほぼ全面にハスが咲いている。これより広いハス池はないのだろうか。

一時、「国内一のハスの自生地」と宣伝していたのが、琵琶湖の南東にある滋賀県草津市・烏丸半島のハス。だが、ハスが咲いていた面積は13haが最大で高田公園より少ない。熱気球による空からの観光フライト、ボートによる「ハスクルージング」などで観光客を集めていた。

だが2016年、そのハスが全滅してしまった。枯れたハスの葉などが湖の底にたまり、ハスが呼吸できずに枯れてしまったという。

伊豆沼と内沼のハスは“半端ない”

見渡す限りハスで埋め尽くされている伊豆沼
伊豆沼3-1

宮城県北部の栗原市、登米市にまたがる伊豆沼と内沼は、ラムサール条約に登録されている湿地で、広さは491ha(伊豆沼369ha、内沼122ha)。ハスはこの水面のほぼ全域に咲いている。広さは伊豆沼だけでも高田公園外堀の約20倍もあり、規模では文句のなく“日本一のハス”である。

宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団によると、1960年代まではジュンサイやヒツジグサが沼を広く覆っていた。「ハスは沼の一部で生育していた程度」だという。それが沼の干拓や富栄養化で1970年前後からハスが急激に増加し、水面を覆い尽くすようになった。しかし、度々洪水が起き、その都度全滅を繰り返してきた。近年はダムができるなど、沼の洪水調整能力が高まり、ハスは安定して咲くようになってきたという。

咲き誇るハスの中を進む遊覧船。30分ほど遊覧しても一部しか見られないほど広い
伊豆沼4_1

7月下旬から8月末までは「はすまつり」が開かれ、伊豆沼は2か所、内沼は1か所から遊覧船が出て、ハスの群生の中を巡って見ることができる。ハスの種類は高田公園と同じ和蓮である。

伊豆沼の遊覧船に乗ってみた。沼の一部、約3kmを30分ほどかけて巡る。沼の外周は21kmもあるので、全部は回りきれないという。見渡す限りのハスの群生の中を、かきわけるようにして船は走る。圧倒的なスケールである。広さを実感するには下の動画を見てほしい。

内沼の遊覧船にも乗ってみた。伊豆沼の3分の1ほどの広さだが、高田公園外堀より圧倒的に広い。昭和に入って干拓が行われるまでは、伊豆沼と内沼は一つの沼だったという。

伊豆沼のハスを巡る遊覧船

広さでは伊豆沼・内沼が日本一

伊豆沼・内沼のはすまつりのパンフレットの説明文には「日本一といわれるハスの群生」としるされているが、非常に控えめだ。歴史がまだ浅いこと、洪水ごとに全滅を繰り返し、変動が大きいことなどが理由だろうか。

伊豆沼の南東約3kmにある長沼(宮城県登米市)でも「はすまつり」をやっているというので行ってみた。広さは伊豆沼と同じぐらい。小池東京都知事がオリンピックのボート・カヌー競技会場の候補に挙げ、有名になった場所だ。ここも沼の3分の1ほどがハスで覆われ、どう見ても高田公園外堀のハスよりも規模が大きい。

それでも誇るべき「高田公園のハス」

大賀博士が高田に来た1953年(昭和28年)頃には、高田公園のハスの規模は日本一だったのだろう。現在は伊豆沼・内沼に広さでは負けたとはいえ、1871年(明治4年)に、藩士救済を目的に植えられた長い歴史は誇るべき。蓮まつりも1978年(昭和53年)から続いており、「東洋一」は言い過ぎにしても、景観や催しなども含め「日本一」と誇ってもいいのではないだろうか。

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