こんなに大きかったの!? 上越妙高駅の謙信像の木彫原型が公開

北陸新幹線上越妙高駅東口に設置された戦国武将、上杉謙信のブロンズ像の原型となった木彫像が2015年4月17日、新潟県上越市新光町1の上越文化会館ロビーで公開が始まった。ブロンズ像より一回り大きく感じるが、ほぼ実物大。制作過程での苦闘の跡が木肌に刻まれ、ブロンズ像以上の説得力で迫る。

上越文化会館ロビーにお目見えした上杉謙信像
謙信木彫S

クスノキで造られた木彫原型は、高さ約4m、長さ約4mで、重さは約1t。上越妙高駅に設置されたブロンズ像よりずいぶん大きく見えるが、制作者の上越教育大名誉教授で彫刻家の峯田敏郎さん(75)は「これから型を取って像ができている。鋳造の際に数%縮むが、ほぼ実物大。広い屋外に設置されると小さく見えるが、実際はこれだけ大きな作品」と話す。

ブロンズ像は現在、石膏で原型を作ることが一般的。木彫を専門とする峯田さんは「明治初期頃までは、上野の西郷隆盛像、皇居の楠木正成像のように、木彫の方が多かった。あえて、木彫でやることにした」と話す。

大きな作品のため、1本の木から彫り出すわけにはいかない。鋳造しやすいよう約50種類の部品に分け、木目なども考慮しながら制作した。鋳造期間を考慮すると、昨年10月下旬が制作のタイムリミット。峯田さんは「スケジュールはぎりぎり。1年間にわたり体調管理に努め、気力を振り絞ってやった」と話す。

設置作業は峯田さん立ち会いの下、4月15、16の両日に行われた。ばらばらの状態で運ばれた部品を一つ一つ組み立て、倒れないように台座に固定した。展示にあたり、ブロンズ像と同様に、かぶとなどに金箔を貼ったため、まばゆいばかりの光を放っていた。

市文化振興課では「峯田先生の意向で、作品の周囲にロープを貼ることなどをせず、自由に見てもらうことになった」と話す。市では、制作や鋳造の過程が分かる説明板を取り付けるとともに、作品が劣化しないよう、南側の窓ガラスに紫外線を遮るフィルムを貼る予定。

峯田さんは、「生の木彫を市民に見ていただき、制作の工程を知っていただけるのはうれしい」と話している。

設置作業を見守る峯田さん(右)
謙信公木彫tate