《非常事態》上越で特殊詐欺多発! 4月なのに早くも昨年を超える

新潟県の上越警察署管内で、2014年に入ってから電話を使って他人名義の口座などに送金させる特殊詐欺事件が多発している。4月24、25日にも連続で被害があり、早くも昨年1年間の件数、被害額を上回る非常事態となった。最近は手口が巧妙となっている上に、詐欺の前兆電話も頻繁にかかっており、同署は注意を呼び掛けている。

被害者宅などに送られてきた金融商品などのパンフレット
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同署によると、今年1月以降に発生した特殊詐欺件数は4月25日時点で12件、被害額は3919万円となった。昨年は1年間で被害件数が11件、被害金額が3200万円だったため、件数、被害額とも早くも昨年を上回った。

同署によると、12件のうち9件が振り込め詐欺。内訳は子供を語って高齢者らから現金をだまし取るオレオレ詐欺が6件。メールなどを通じて使った覚えのないアダルトサイトなどの情報料の請求を行う架空請求詐欺が3件となっている。

振り込め詐欺以外の特殊詐欺は3件。代表的なのは、身に覚えのない商品のパンフレットを送付して「特定の人しか買えないので、あなたの名前を貸してくれ」「値上がり確実、必ずもうかる」と電話などで伝えて現金をだまし取るものだ。

被害額は1件あたり最大で1500万円に上る。被害者の年齢は12件中10件が60代以上となっている。

オレオレ詐欺では、しゃがれた男の声で「のどに腫れ物ができた。あと携帯電話の番号が変わった」と話して電話を切り、後日「女性を妊娠させた。中絶費を出してほしい」などと言って現金をだまし取る典型的なものや、目覚ましと称して犯人が朝に被害者に電話を掛けさせる手口もあるという。

またパンフレットを送付して現金をだまし取る詐欺事件では、パンフレットが届く前後に性別や法人名が違う人物が次々と電話を掛け、信用してしまった被害者が現金を振り込んでしまうなど手口が巧妙となっている。

最近では上越市民の住宅に詐欺の前兆電話が頻繁にかかっており、同署には1日最大で10件程度の通報が寄せられている。

同署は「オレオレ詐欺では、子供など本人の電話番号にかけて確認を取ってほしい。身に覚えのない物が送られてきた場合は、自分で判断せず家族や警察などに相談してほしい」と注意を呼び掛けている。

また、昨年は特殊詐欺被害がなかった妙高署でも、4月24日に今年初めて発生している。


■上越市でオレオレ詐欺 70代男性が100万円被害

上越署は2014年4月25日、上越市に住む70代男性から特殊詐欺被害の被害届を受理したと発表した。被害額は100万円。

発表によると23日午前9時30分ごろ、男性宅に三男を名乗る男から電話があり、「風邪をひいて熱がある。首にしこりができた。明日病院に行く」や「携帯電話が壊れて別の携帯電話を使っている」などと言われた。

翌日24日午前9時30分ごろ、男性に再び三男を名乗る男から電話があり、「医者に行ったら悩み事からくる病気だと言われた」、「実は不倫をしていた女性に子供ができ、示談金として70万円払ったが許してもらえず、弁護士から100万円を請求されたので振り込んでほしい」と言われた。同日、男の話を信用した男性が上越市内の金融機関から指定された口座に100万円を振り込んだもの。

さらに25日午前9時30分ごろに再び男から電話があり、「100万円では足りなかった。もう20万円を振り込んでほしい」と言われ、前日に引き続き、市内の金融機関から振り込もうとしたが、職員から「詐欺ではないか」と言われた。男性が県外に住む三男に連絡をし、被害が発覚した。

■上越市で特殊詐欺 70代女性が200万円被害

上越警察署は2014年4月24日、上越市内に住む70代女性から金融商品の取り引きを名目とした特殊詐欺の被害届を受理したと発表した。

発表によると、4月上旬、女性の自宅に見知らぬ医療関係の会社からパンフレットが届き、前後して男や女の声で「パンフレットの会社の株を買いたいが、パンフレットが届いた人しか買えないので、名義を貸してほしい」などと電話があった。

女性が名義貸しを承諾。その後、パンフレットの会社を名乗る男からの電話の問い合わせには名義貸しを隠して対応していた。しかし「名義貸しだと分かった。名義を借りていた者が逮捕された。あなたも逮捕されるかもしれない。事件にならないよう弁護士に仲介するので200万円を送ってほしい」などと言われた。女性は4月19日に現金200万円をレターパックに入れて東京都内の指定された住所に送った。

送った後も追加の弁護士費用を送るように要求され、同署に相談した。

■妙高でオレオレ詐欺 70代女性100万円被害

妙高警察署は2014年4月24日、妙高市内居住の70代女性から振り込め詐欺の被害届を受理したと発表した。被害額は100万円。

発表によると、4月22日夜に女性の自宅に男の声で電話があり「携帯電話の番号が変わった。風邪を引いて体調が悪い」などと言われた。翌23日に再び男から電話があり「女の子を妊娠させてしまい、お金がいる。弁護士の口座に100万円を振り込んでほしい」などと嘘を言われ、妙高市内の金融機関の窓口で同日、男が指定した口座に100万円を振り込んだ。家族が県外にいる息子に連絡し、詐欺に気付いた。