「ガレキとラジオ」のやらせ発覚で高田世界館の上映中止

NPO法人街なか映画館再生委員会は、新潟県上越市本町6の高田世界館で、2014年3月8日から11日まで上映を予定していた映画「ガレキとラジオ」の上映中止を決めた。3月5日付の朝日新聞で「やらせ」が指摘されたことを受けたもので、上映初日に予定していたシンポジウムも中止する。映画の前売りチケットを購入した人は払い戻しを行う。

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ガレキとラジオ画像

「ガレキとラジオ」は、2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町に密着し、災害ラジオ局「FMみなさん」を中心に、1年にわたる同町の復興への道のりを追うドキュメンタリー映画。

報道によると、やらせを強いられたのは同町の仮設住宅で暮らす70代の女性。仮設住宅の周辺は災害ラジオの電波が届いていなかったが、撮影班は「聴いているふりをしてください」と指示し、ラジカセを用意したという。さらに撮影班はせりふを細かく指示し、「いつも聴いている」「音がないと寂しい」などと言わせたという。

この女性は「放送によって励まされる被災者」として、唯一登場しているほか、娘や孫を失った被災者の悲しみを話すなど、映画の核心を担う役割だった。映画のラストシーンでは、女性が生まれて初めてリクエストはがきを書く場面を撮影しており、はがきの冒頭には「ラジオを楽しく聞いています」と書かれていた。

やらせ発覚に伴い、番組の公式フェイスブックページでは、監督らが謝罪コメントを掲載している。また、映画のナレーターをボランティアで務めた俳優の役所広司さんが、オフィシャルブログで「今後二度と上映されるべきものではありません」「スタッフの苦労は、ドキュメンタリー映画でやってはならない演出で全てが無になってしまいました」などと、強く非難している。

上映会を企画した同委員会の岸田國昭さんは「配給側から上映会中止を要請するメールが来たこと、シンポジウムがやりづらいこと、次に上映するドキュメンタリーも同様にみられるおそれがあることなどから、中止に踏み切った。大変に残念だ」と話す。

前売りチケットの払い戻しは、岸田さん(090-2562-4475)へ。

↓番組の公式フェイスブックページ
https://www.facebook.com/garekitorajio

↓役所広司さんの公式ブログ
http://yakushokoji.cocolog-nifty.com/blog/

「ガレキとラジオ」動画予告編