魚の「メギス」は北陸方言のはず なぜか静岡県でも使われる!?

新潟県上越地方の人は日常的にスーパーや魚店で買って食べている魚「メギス」。しかし、正式な和名は「ニギス」であり、メギスという方言で呼ぶのは新潟県を含む北陸地方に限られる。しかし、2014年2月15日に日本テレビ系列(新潟県はTeNY)で放送した「天才!志村どうぶつ園」で、静岡県沼津市を訪れた志村けんさんがメギス入りの「深海魚バーガー」の立て看板を発見し、驚く場面があった。なぜ、北陸地方から遠く離れた静岡県で、「メギス」と呼ぶのだろうか。

焼いておいしく、煮ておいしいメギス(ニギス)
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番組では、志村さんが捨て犬ちびと静岡県伊豆半島を訪ねる。沼津市を歩いていた志村さんは、メギス入りの「深海魚バーガー」の立て看板を発見する。メギスのフライが入っているご当地ハンバーガーだが、北陸地方の方言がなぜか使われている。このほかにも、メギス入りのはんぺんなども名物らしい。

「天才!志村どうぶつ園」より
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全国のブログを検索してみると、ニギス(ニギス目ニギス科)のことをメギスと呼んでいるのは、新潟、福井、石川の北陸地方と、静岡県の沼津周辺のみ。北陸でも富山県ではミギスと呼ぶ。全国ではオキギス(京都府、三重県)、オキウルメ(高知県)、オキイワシ、オキガマス、ケツネエソ、トンガリなど様々な呼び名がある。

ニギスはキス(シロギス)に似ているから名付けられたとされるが、キスとニギスはまったく別の種類だ。一方、メギスは目がぎょろりとして大きいから名付けられたとする説が有力だ。

メギスの漁獲量は、石川、島根、愛知に続き、新潟は第4位。傷みやすい魚のため、新潟県内では漁場が近い上越地域以外ではあまり食べられていない。沼津では底引き漁で捕れるメギスをゲテモノ風の深海魚として売り出しており、ハンバーガーもその一環。深海魚は水深200mより深い海域に住む魚を指すので、水深100~400mの海底に住むメギスは深海魚に分類されるようだ。

なぜ、北陸からポツンと離れた伊豆半島でメギスと呼ぶのだろう。言葉はかつて文化の中心だった京都から周辺に向かって同心円状に広がっていくとする民俗学者、柳田國男の「方言周圏論」から一応の説明は付く。京都から伊豆半島と新潟県はほぼ同じ距離だからだ。それとも、目が大きいので偶然付けられたものだろうか。

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