7年前の耐震診断で全園児移動 保護者憤り

新潟県上越市教育委員会は、市立ひがし幼稚園(東本町2、定員90人、在園児36人)の園舎について、耐震診断の結果、地震による倒壊や崩落の危険が高いとして全園児を市立高田幼稚園(大手町、定員160人、在園児72人)に移す方針を保護者らに伝えた。ただ、耐震診断の結果は7年前の2006年度に判明していたが、保護者に伝えられたのは今回が初めて。年度途中の突然の移動要請に保護者からは憤りの声が上がっている。

上越市立ひがし幼稚園
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ひがし幼稚園は1970年の建築で、2006年度に行った耐震診断の結果、構造耐震指標のIS値が0.18で、地震による倒壊、崩落の危険が高いと判定された。耐震強度を確保するためには構造上、補強工事では対応できず、建て替えが必要という結果だった。市教委はその後、市立幼稚園の必要性を含めたあり方の検討を続けてきたが、建て替えや統合などの結論が出ていない中、今回、急きょ園児の移転を決めた。

園児移動の方針を知らされた30代の保護者は「7年も前に園舎が危険と分かっていたのにずっと保護者に知らせず、今になって突然出て行けというのは納得できない」、別の30代の保護者は「市内のいろいろな公立、私立の幼稚園を比べてここを選んだ。卒園までいられると説明を受けていたのでまったく寝耳に水。前から分かっていたのなら、こういうやり方は本当に腹立たしい。一番迷惑を被る子供たちのことを考えているのか」と憤っている。

市教委の方針では、全園児を高田幼稚園に移動させるが2園を統合するわけではなく、高田幼稚園に、2園の看板を掲げ、2園がそのまま同居する形の異例の運営となる。また文科省の計画では、2015年度までに幼稚園を含む学校の耐震化を終えなければならないため、現在のひがし幼稚園の園舎に園児が戻ることは事実上ない。

市教委では「園児の移動の時期を含めて、保護者の意見を聞きながら進めていきたい」としている。