展覧会とスイーツがコラボ 象徴派を食べよう

2012年10月2日から新潟県長岡市の県立近代美術館で開かれている企画展「象徴派―夢幻美の使徒たち」の後期展示に合わせ、上越市富岡の洋菓子店「パティスリー リ・リ」と同館がコラボし、エドガー・アラン・ポーの肖像画をかたどった米粉サブレを作った。同館で販売しているほか、「リ・リ」でも10月12日から店頭販売を始める。

コラボは広告代理店を通じ「象徴派展に合わせたお菓子を作れないか」との依頼を受けて実現した。同店は同美術館とデザインなどの打ち合わせを重ね、数ある象徴派の作品の中から、偶然にも同館が所蔵している詩人エドガー・アラン・ポーの肖像画を選んだ。

リ・リと県立近代美術館がコラボした米粉サブレ(クリックで拡大)
sabure_w

フェリックス・ヴァロットンの1894年の木版作品《エドガー・ポーの肖像》
ヴァロットンS

ボードレールがポーの詩や小説を仏訳したことが、フランス象徴派の文学観形成に大きく寄与したとされる。美術と文学が深く結びついた象徴派が今、静かなブームを呼んでいる中、10月12日からエドガー・アラン・ポーが主人公の映画「推理作家ポー 最後の5日間」が封切られる。上越市のJ-MAXシアターでも上映する。

サブレは、米粉クッキーにチョコレートを塗り、砂糖をゼラチンで固めたパステヤージュを重ねている。肖像画は、特別にポーの型を作り、コーヒーシロップを付けてパステヤージュにハンコのようにスタンプして完成する。

同店製作担当の川端明希子さん(26)は「米粉クッキーは、口どけがいいように通常は柔らかめに作るため、今作のように大きく作ると割れやすくなる。肖像画もきれいに写すにはパステヤージュの出来が重要だった。クッキーとパステヤージュの硬さのバランスが非常に難しかった」と話す。

「失敗や試行錯誤を重ね、商品完成まで約2か月かかった。まず映画もクッキーも鑑賞して、それから味わってみてほしい」と話す。サブレは1個200円で、長岡市の県立近代美術館で販売している。映画の封切りに合わせ、12日から同店で店頭販売も行う。

なお、県立近代美術館では、サブレの図案になった《エドガー・ポーの肖像》の肖像画は、前期に展示したため、今回の展示はない。だが、エドガー・ポーから霊感を受けたオディロン・ルドンのリトグラフ「エドガー・ポーに」(全7点)を展示している。

1882年のオディロン・ルドン作 <エドガー・ポーに>
「眼は奇妙な気球のように無限に向かう」(岐阜県美術館蔵)
オディロン・ルドンS

◇パティスリー・リリのウェブサイト
http://www.riz-riz.jp/

◇新潟県立近代美術館
http://www.lalanet.gr.jp/kinbi/

◇J-MAXシアター(上映時間を確認ください)
http://www.j-max.jp/