新潟県上越市南本町3の青田川沿いの住宅街にホタルが飛び始めた。ホタルが飛んでいるのは川の再生に長年取り組んできた「青田川を愛する会」(石川總一会長)が設置したビオトープで住宅が立ち並ぶ一角にある。川に近い屋外でホタルが生息できる環境整備が実現できたことで、「ホタルの飛ぶ昔の青田川を再び取り戻そう」という同会設立以来の念願が最終段階を迎えている。
生活雑排水で汚れた青田川を再生しようと1990年に設立された同会は、沿川町内会や企業、行政と連携して、河川クリーンアップ活動や水質調査、環境美化に取り組んでいる。4年前から川の近くにホタルを育てるための小屋「ホタル育成研究棟」を建て、畑だった場所に水を循環させて川に見立てたビオートープを作って実験を重ねてきた。
ホタル育成を担当してきた近くに住む石野定雄さん(65)によると今年は5月29日に最初にホタルが飛ぶのが確認された。ビオトープは住宅と隣接した場所にあるが5月14日夜は午後8時ごろから10匹近いホタルが見られた。近隣の住民が次々と見物に訪れ「こんなに人の多いところでホタルが見られるなんて」と驚く人も多かった。
約20年かけた県による青田川の河川工事が昨年一段落した。同会の要望により川には石積みのホタル保護水路も設けられており、来年にはビオトープなどで育ったホタルの幼虫を放流する計画だ。