板倉区の地滑り続く 建物被害が11棟に拡大

新潟県上越市板倉区国川で2012年3月7日に発生した地滑りは丸5日目を迎えた12日、土砂や雪塊などの動きが早くなり、同日午後4時までに新たに住宅や作業所などが損壊し、建物被害は11棟になった。現場では原因とみられる地下にたまった雪解け水を抜く作業などを行い拡大を防いでいるが、積雪が多く、市は地滑りの長期化を予想している。

一夜で急激に地滑りが拡大し、建物の損壊が激しくなった(クリックで拡大)
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12日午後4時時点で、建物被害の内訳は住家が4棟、空き家が1棟、作業所4棟、車庫2棟にのぼっている。人への被害はない。

市によると、11日の日中の進行速度は毎時20~30cmだったが、11日夕方から毎時80~100cmと速まり、12日午前5時までの12時間で9m余り進んだ。

そのため既に損壊している建物が、寄りかかるように隣接する建物に接触し、被害が拡大した。建物の周辺では電柱が傾き、山から運ばれてきた樹木が倒れかかるなど、一夜にして地震に見舞われたような惨状になった。

地滑りは県道三和新井線を超えそうな勢いで、付近を流れる農業用の上江用水に向かうなど、範囲が広がっている。県は11日までに県道上に大型ブロックを設置したほか、用水の寸断防止を目的に水路内にパイプを設置。また12日は拡大防止を目的に地滑り側面に土のうを積んだ。

巨大地震に遭ったような惨状。地滑りのエネルギーのすさまじさが分かる
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12日現在で避難勧告の対象となっている21世帯80人のうち、12日午後4時時点で、15世帯52人が避難所の板倉農村環境改善センターや親せき宅に避難している。このうち5世帯は市が用意している公営住宅への転居を希望している。

同日午前には市役所内で村山秀幸市長を本部長とする災害対策本部の第1回会議が行われた。馬場和明危機管理監は、現地の積雪が地滑りの発生原因とみられる水の供給源となっていることに触れ「雪が無くなるまで安心できず、長期化が予想される。今後の対応を検討したい」と語った。村山市長は「住民は不安になっている。国や県と連携を取って住民に情報を伝えてほしい」と指示を出した。