オータムポエムとアスパラ菜って違うの?

新潟県上越地域の特産野菜「上越野菜」に2011年11月末、新たに「アスパラ菜」が追加された。上越野菜にはもともと「オータムポエム」が認定されている。多くの上越市民にとっては、アスパラ菜はオータムポエムの別名で同じ野菜のはず。両者は同じなのか別なのか、取材した。

poem

オータムポエムは上越の冬を代表する青物野菜で、甘さと歯ざわりが特徴。上越地域では1990年ごろから生産が始まり、今では県内最大の産地となった。「秋の詩」という意味のオータムポエムという横文字を聞いてもどんな種類の野菜か分からないことから、当初から別名アスパラ菜と説明されてきた。

別名なら両者は同じものということになるが、JAえちご上越によると、アスパラ菜は品目名で、オータムポエムは品種名だという。トマトに例えると、アスパラ菜が「トマト」に該当し、オータムポエムは「桃太郎」などの品種を指す名称だという。

同JAによると、これまで長い間、種苗会社「サカタのタネ」の品種であるオータムポエムだけしかなかったため、「オータムポエム=アスパラ菜」という説明で定着してきた。しかし、数年前から別の種苗会社「トーホク」の「愛味菜(まなみな)」が登場。後発品種のため栽培や出荷しやすさなどの面でメリットがあり、今年は同JA管内の作付け面積3・5haの7割を占めるまでになった。

今後もさらに良い新品種が種苗会社から発売される可能性もあることから、同JAでは、個々の品種名ではなく、品目名であるアスパラ菜を前面に出すことした。生産者で作る同JAの「オータムポエム部会」も、今年8月から品目名を採用し「アスパラ菜部会」に名称を変更している。今後は、スーパーなどの店頭では「アスパラ菜」という表示が増えそうだ。

上越野菜振興協議会が今回、上越野菜にアスパラ菜を追加したのはこういった実態に合わせたためで、すべてアスパラ菜にしてもよさそうだが、オータムポエムを出荷を続ける生産者に配慮した形だ。

アスパラ菜として売られるものの中に、オータムポエムと愛味菜があるということになるが、JAの担当者よると、素人には味も見た目もまったく区別が付かないという。

アスパラ菜の出荷は例年、12月20日過ぎから本格化し、翌年3月末まで続く。