旧大和から移転した人魚像のモデル発見!?

旧大和上越店から2011年9月14日に移転した、小川未明の「赤い蝋燭と人魚」にちなむ人魚像に良く似た博多人形が、上越市役所の市長応接室に鎮座している。博多人形は、閉店前に大和上越店の店長室に置かれていたもので、人魚像のモデルになったかもしれない。

まずは2体の人魚像の写真を比べてほしい。髪型、ふっくらした頬、着物、手の形、足(尾)の形など、どこを見ても非常に良く似ている。

左/市長応接室の博多人形 右/人魚像
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本町5のランドビルに移転した人魚像
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市長応接室に飾ってある人魚の博多人形
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 人魚像の移築工事を請け負った真野石材によると、人魚像が造られた36年前は外国の大理石は日本に入ってこなかったので、運搬の手間を考えると、材料は常陸太田市の白大理石と考えられるという。

有名な彫刻家が掘った像なら銘を入れるのが普通だが、移設の際、裏側まで丹念に探したが、作者の銘は彫られていなかった。

その場合、「産地の石工(いしく)が掘ったものと考えられる」という。

石工は地蔵や観音像を彫るのは慣れているが、人魚像は初めてだったのではないか。

そこで産地に見本(モデル)として送ったのが、人魚の博多人形だったと想像できる。福岡県博多市には、その昔、漁師の網に人魚が掛かり、それを手厚く埋葬したという伝説が残る竜宮寺がある。人魚の博多人形があっても不思議ではない。

人魚像が完成した際、モデルの博多人形は大和上越店に一緒に送り返され、そのまま店長室に飾られた。それから36年の年月が過ぎ去り、店長の交代もあって、知る人はいなくなった……。

大和上越店は「人魚像に関する資料などは一切残っていない」と公式見解を述べているので、あくまでも想像の範囲を出ない。人魚像に芸術的な価値があるなら別だが、このままミステリアスな部分を残しておいたほうが、いいかもしれない。

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