震災チャリティーで10月に映画の無料上映会

日本映画の振興や教育・福祉事業を支援している山路ふみ子文化財団(東京都港区・岩崎光洋理事長)は2011年10月9、10の両日、上越市で近藤明男監督の最新作「エクレール お菓子放浪記」など3本の映画を東日本大震災のチャリティーとして無料上映する。9月9日に上越市本町6の高田世界館で開いた会見で正式発表した。

高田世界館で行われた発表会の模様(クリックで拡大)
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上越市が同財団の地域振興映画上映会の上映地に選定されたもので、近藤監督が2007年に撮影した「ふみ子の海」が、同年の山路ふみ子福祉賞を受賞していることから実現した。今年7月15日には岩崎理事長や近藤監督が報告のため上越市を訪れ、村山市長に面会し、上映会の実施について協力を要請している

「エクレール・お菓子放浪記」は、近藤監督が上越市を舞台にした「ふみ子の海」(2007年)から4年ぶりにメガホンを取った映画で、宮城県石巻市を中心に昨年10月から11月にかけてロケ撮影した。映画は今春、石巻市で先行上映される予定だったが、試写会の翌日の3月11日に発生した東日本大震災でロケ地が一瞬のうちに流され、出演した地元エキストラから死者や行方不明者も出た。

映画の原作は西村滋の自伝的小説。お菓子への憧れを胸に、孤児の少年がさまざまな人々との出会いと別れを繰り返しながら混乱期を懸命に生き抜く姿を映し出す。主人公のアキオを演じるのは、映画初出演となる吉井一肇。いしだあゆみ、林隆三、高橋惠子ら実力派俳優が脇を固める。

上映される映画はほかに「ふみ子の海」と、耳が不自由な人の女子サッカー日本代表を描いた「アイ・コンタクト」の3本。当日は俳優2人も招き、監督との対談を行う。鑑賞料金は無料だが、会場に東日本大震災のチャリティー募金箱が設置される。

発表会の模様(動画=7分38秒)

発表会には、財団の佐藤善志事務局長と近藤監督、上映に協力する上越映画観賞会の増村俊一会長が出席した。

佐藤事務局長は、「私たちも元気に、そして私たちの元気を遠くの方々に、という大きな狙いをもって2日間、開催したい。より多くの人にこのすばらしい映画を観ていただき、教育と福祉に結びつけていただきたい」とあいさつ。

近藤監督は、「去年の10月から11月にかけて石巻をベースキャンプに1か月間、市民の皆様とともに作ってきた。本来なら石巻、仙台で先行ロードショーという予定でいた。石巻の皆さんには10月1日からようやく映画を観てもらえるようになった」と被災地での上映を報告した。

また、撮影の様子を交え「石巻の岡田劇場という1週間ぐらい撮影したが、津波で一瞬のうちに椅子も映写機一つ残っていない状態になった。エキストラの方の中にも犠牲者がおり、まだ気持ちの整理がつかない」などと話した。

【上映日程】
・10月9日(日) 会場/高田世界館
 10:00~ エクレール お菓子放浪記
 12:30~ ふみ子の海
 15:00~ 監督と映画出演者の対談
 16:00~ エクレール お菓子放浪記

・10月10日(月/祝日) 会場/リージョンプラザコンサートホール
 10:00~ エクレール お菓子放浪記
 12:30~ 監督と映画出演者の対談
 13:30~ アイ・コンタクト 
 15:30~ ふみ子の海

◇予告編

◇「エクレール お菓子放浪記」公式サイト
http://www.eclair-okashi.com/

◇「ふみ子の海」公式サイト
http://www.cal-net.co.jp/fumikonoumi

◇山路ふみ子文化財団
http://www18.ocn.ne.jp/~yamaji/