信越線 脇野田駅の移設費が4割増の42億円に

2015年春開業予定の北陸新幹線上越駅(仮称)開設に向けた脇野田駅前後の信越線移設事業費が当初の見通しより4割多い41億8800万円に膨らむ見通しとなった。2011年9月5日、上越市議会本会議で複数の議員がその経緯などをただした。

JR脇野田駅
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現在の脇野田駅から西に約120m離れた場所に新幹線新駅が設置されるため乗り換えの利便性などのため移設される。

移設事業についてはこれまでも紆余曲折を経ている(関連記事参照)。当初は市が鉄道事業の認可を得て自前で工事を行う方針だったが、事業認可が得られず、昨年6月にJRに委託することになった。移設の費用は市が負担する。

市が2005年度に専門のコンサルタントに委託した際には約30億円と見積もられた。この昨年、工事を受託したJR東日本が調べたところ、軌道の消雪設備や路盤の改良などが盛り込まれておらず、事業費が膨らむことがこのほど判明した。

杉田勝典議員(公明)の総括質疑に対して、村山秀幸市長は「当初の積算で条件設定が精査されていないのが大きな要因だが、いずれも安全運行に必要な設備」と述べ、今後具体的な設計が行われる際に事業費を抑制がされるよう、JRや並行在来線を運営する三セクとともに再精査に向けた協議を始めたことも明らかにした。

また財源についても市の一般財源からの支出を1億8000万円に抑え、国や県の補助金、合併特例債を活用する方針を示した。

吉田侃議員(市民ネット改革)は「民間企業の常識では考えられない。こんなラフな見積では民間企業ならつぶれてしまう。当時の職員は雪が降ることをコンサルタントにきちんと主張しなかったのか」などと指摘した。

開会中の市議会9月定例会で関連予算案が議決された後、JRと移設についての協定を締結する。

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*関連記事「上越市長がJRに信越線移設工事要請」(2010年4月28日)